キスしなきゃ出られない部屋 ―KP― (ページ14)

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永瀬 × 岩橋ページ14

永瀬side

「あれ」

部屋を出ようとドアノブを回したのに開かない。

なんでやと思って扉を睨みつけたとき、妙な言葉が目に入った。

「キスしないと、開きません……」

俺の代わりに玄樹がその内容を読み上げる。

キスしなきゃ開かないなんて、そんなわけ……。

「……あるわけないやん」

でもその後何度試しても、扉は固く閉じられたままやった。

「え、ガチで開かないんやけど！」

「いやでも、誰か開けてくれるよね？」

「せやな。待つか」

ということで、二人で待つこと数分。……誰も来ないやん。

「ねえ廉、このまま開かなかったらどうする？」

「どうするって……」

その場合ここから出る方法は一つしかないんやけど、なんか言いにくい。

玄樹とキスって……なあ？

頭を掻きながら言葉を濁していると、隣から小さな笑い声がした。

「ふふ、そんな照れなくていいのに」

「そういうわけやない、けど」

思わず玄樹から目を逸らした。ああもう、調子狂うわ。

「で、どうする？」

逸らした目を強引に合わせられ、目の前に玄樹の顔が映る。ほんまに可愛えな。

……って、いやいや、玄樹は男や。今さらキスくらいで、なんでこんなに動揺するん。中学生男子か俺は！

「あーじゃあ……キスしますか？」

「いいよ」

控えめに微笑む玄樹に、俺はゆっくりと近づいた。そのまま柔らかい唇にそっとキスをして離れる。

「……ふっ」

「どうしたの？」

「別になんも。ほら、早よ出よ！」

照れくさくて思わず笑ってしまったのを誤魔化すためにドアを開けた。

そんな俺を不思議そうに見つめる玄樹は、最早ウサギにしか見えへん。

この可愛さにはいつまで経っても慣れそうにないわ。

―END―