キスしなきゃ出られない部屋 ―KP― (ページ11)

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神宮寺 × 平野ページ11

平野side

「……キスしないと開きません？」

扉の文字を読んで目を見開く。俺の読み間違いかなと思って５回くらい見直したけど、こういう時に限って間違えていない。

「いや、そんなことある？」

隣にいたジンが半笑いでドアノブをガチャガチャ回すも、どうやら開かないらしい。

「紫耀、これマジなやつだ」

「マジかー……どうする？」

「えー、じゃあする？」

いやノリ軽いな。

「普通そんなあっさり受け入れます？」

「だってしなきゃこの扉開かないんでしょ」

「まあそうなんだけど。ほら、窓から出るとかあるじゃん」

「いや窓ないよここ」

見渡してみると、確かに壁しかない。あった気がしたんだけどな。あれは別の部屋だったっけ。まあいっか。

「じゃあするしかないってこと？」

「そうだよ。さっさとキスして出よう」

さっきからこいつ、キスしか選択肢ないじゃん。

「キスの扱い雑だな！もう少し抵抗とかしろよ」

「今さらそんなのなくない？てか、トイレ行きたいからとりあえず早く出よう」

「マジか。……ほら、ん」

それならしょうがない。

少し照れながらもジンの方に唇を軽く突き出すと、迷わずキスをしてきた。

チュッ、と小さなリップ音がしたかと思うと、すぐに唇は離れていく。

「よし、開いた。紫耀出よう！」

何事もなかったかのようにジンが扉を開ける。いや、通常運転すぎるわ。

「……お前さ、もう少し恥ずかしがれよ」

「なんで？てか、トイレ行きたいんだって！」

……一応ちょっとだけ緊張した自分が馬鹿だった。

とか言いつつも、一緒にトイレに行った頃には、さっき感じた緊張なんてどうでもよくなっていた。

―END―