キスしなきゃ出られない部屋 ―KP― (ページ2)

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岸 × 髙橋ページ2

髙橋side

「ねえ岸くんこれ見て」

　扉の紙を指差しながら岸くんにそう言った。

「この扉はキスしないと開きません……これガチで言ってる？」

「そんなことってある？」

　俺は疑って扉を開けようとしたけど、一向に開かない。

「えー、マジで開かない。どうしよう」

「いやいや絶対開くって！海人貸して」

　岸くんが扉の前に立って、ドアノブを強めに回す。いや、さっきそれ俺が試したんだけど。

「なんで開かないのこれ！？ ……いった！」

　突然岸くんがしゃがみ込んだ。俺もしゃがんで目線を合わせる。

「どうしたの？」

「入った！」

　どうやら足を吊ったらしい。……なにをどうしたらそうなるんだろう。経緯はよくわからないけど、岸くんが抑えている右足首あたりを一緒にさすってあげる。

　しばらくして落ち着いたところで、しゃがんだまま「どうやって出る？」と尋ねた。

「これはもう扉壊すしかないんじゃ」

「それ大変すぎない？もうキスした方が早いじゃん」

「いや、それはちょっと……海人とのキスはなんか違うんだよ」

「なんでだよ！ふざけんなよぉ」

「本当、それはごめんなさい」

　岸くん俺にだけ冷たくない！？

「でもキスしないと出られないんだよ。俺とずっとここにいたいの？」

「それもそれでちょっと無理だな。……よし、海人キスしよう」

「ねえひどくない？」

「ほら、こっち向いて」

　この人、聞いてない。……もういいや。

　ん、と顔を向けると、岸くんは一回深呼吸してから俺にそっとキスをした。キスが終わった直後に岸くんは立ち上がり、ドアノブを回す。

「お、開いた。海人出よう」

「なんで一回深呼吸したの？」

「覚悟決め」

「サイッテー！」

　岸くんのバーカ！と腕に絡みついてやる。

　でもそれを振り払わないんだから、本当は俺のこと好きでしょ？ふふ、俺も好きだよ。

―END―