ep.13 そう、自分を納得させて ーSide.Kー ページ33
カフェから出た俺とAは、しばらくお互い何も話すことなく路地を歩いた。
俺の頭には、ただたださっきのダンデの話が残っている。
Aが、他の地方で旅をする。
悪いことではない。
若いAにとっては、むしろいいことばかりのはずだ。
しかも、ダンデがバックアップすると豪語していたのだから、その辺のことはあいつに任せておけばほぼ間違いなく大丈夫だろう。
それに、Aの度胸と経験、知識があれば、旅に不安はそんなにないはずだ。
ちらりと小さな頭を見下ろせば、考え込んでいるのかやや俯き気味になっている。
「…A、大丈夫か？」
気づけば、そう声をかけていた。
声をかけた俺を見上げるAの顔は、俺が思っていたより落ち着いていた。
むしろ、落ち着かないのは俺の方、か。
「大丈夫だよ。ただ…忙しいダンデさんに、いろいろ任せちゃっていいのかなって、そう思って…」
困ったように笑うAは、どうやらダンデの心配をしているらしい。
旅に行くこと自体は、やはり興味があるのか。
「…ダンデなら、たぶん大丈夫だ。それに、俺様もいるしな」
思ってもいないことが、気づいたら口から出ていた。
違う、俺が言いたいのは、そんなことじゃない。
「たしかに、キバナがいたら大丈夫そう」
納得、と言わんばかりにAが微笑んだ。
見上げる目は、信頼で満ちている。
そんな目で見られたら、もう本心なんて伝えられそうにない。
でも、俺はそれで本当に後悔しないか…？
「…まあ、とにかくダブルマッチまで返事は待ってもらってんだし、ゆっくり考えたらいいんじゃねぇか？」
「うん、そうするね。ありがと、キバナ」
後押しをしてもらったと思っているAの笑顔がやけに眩しく見えた。
でもこの様子だと…ーー
ーー受ける気、なのか。
ダンデが大丈夫なら、断る理由はない、そんな雰囲気だ。
俺が止める理由も、権利もない。
「とりあえず…目先の目標は妥当ダンデ・ホップコンビ、だな」
「うん！」
目の前にいるAの頭をくしゃりと撫でる。
思いもしなかったのか、驚いた声を上げてAはつんのめりそうになりながらもその場に踏みとどまっていた。
ーー今は、これで十分だ。
これ以上は、求めてはいけない。
Aが、ちゃんと俺のことを見てくれたら、きちんと伝えよう。
そう自分を納得させ、俺はAと別れ帰路へと着いたのだった。
．
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真希(プロフ) - 匿名さん» ご指摘ありがとうございます、よくよく見てたら１箇所完全に誤字してましたね…； 他の箇所は恐らく大丈夫かと思いますので…教えていただきありがとうございました！ (2019年12月27日 19時) (
レス) id: c3944fcbfe (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - アラベスクタウンのジムリーダーはポプリさんではなくポプラさんですよ…(小声) (2019年12月27日 15時) (レス) id: 99879ec7c1 (このIDを非表示/違反報告)
真希(プロフ) - 山葵さん» こちらにまでコメントいただいてめちゃくちゃ嬉しいです…！(；▽；) 頑張って書き上げますので、もう暫くお付き合いいただけると嬉しいです！ (2019年12月18日 2時) (レス) id: c3944fcbfe (このIDを非表示/違反報告)
山葵(プロフ) - 真希さんの書くキバナさん、ほんとに好きです…！！！！頑張って下さい！！！ (2019年12月17日 23時) (レス) id: 40ec5f6136 (このIDを非表示/違反報告)
真希(プロフ) - ハイサネさん» コメントありがとうございました！バトル風景書いたの初めてだったので、きちんと伝わっててほっとしてます…！応援もありがとうございます、とっても励みになります！ (2019年12月17日 19時) (レス) id: c3944fcbfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真希 | 作成日時：2019年12月6日 2時
