ep.8-2 自覚 ページ20
それに、キバナにああやってされるのは、嫌ではなかった。
「いい匂い、したなぁ…」
呟いて、かぁぁっと顔が赤くなった。
香水の香りなのか、はたまた柔軟剤やら洗剤の香りなのか、甘すぎない、でもいい匂いがしたことを思い出す。
それと、至近距離にいたキバナのことも。
ーー力強かった…。
グイッと、引き寄せられる力はとても強かった。
それでも、痛くないようにと配慮されていたのか、その力は優しくて。
まだ赤い顔を手で扇いでいれば、急に頭上に影が出来た。
驚いて振り向いてみれば、そこには影が2つ。
「がぁっ」
「…見つけたっ」
「フロウにフライゴン…って、キバナさん…」
慌てて探しに来ていたらしいアーマーガアのフロウと、キバナのフライゴンだった。
そして、フライゴンの上にはキバナが乗っている。
Aを見つけ、キバナはフライゴンの背から降り、Aに向かって項垂れるように頭を下げた。
「ごめんな、A。いきなりあんなことしちまって」
心底申し訳ないと思っているらしい。
いつもバトルの時には鋭いその目は、今はそんな影を落としていた。
「えっと、その…ビックリしただけなので、大丈夫です」
「…ほんとか？」
Aが頷いて見せれば、キバナは崩れ落ちるかのようにしゃがみ込んだ。
そんなキバナにまた驚いていれば、ボソッとキバナが呟いた。
「嫌われたかと思ったぜ」
「…？何か言われましたか？」
「いや…なんでもねぇよ」
ニッと笑うキバナは、立ち上がるとそっとAの頭を撫でてきた。
壊れ物を扱うかのようなその優しい手に、またまたAは驚きながらもそのまま動かずじっとしている。
しばらくそのままそうされていたAは、少し考えてからキバナをちらりと見上げた。
「…その、触られるのとか、さっきみたいなのとか、嫌って言う訳じゃなくて…。男の人に、慣れてないから…」
最後の方は、ごにょごにょと小さい声だった。
それでもそれをハッキリと聞いたキバナは、言い知れない感情に襲われていた。
ーーこいつ、こんな可愛かったっけか…？
自分を2度打ち負かし、ダンデを打ち負かした小さな少女。
キバナは、その強さに惹かれ執着心のようなものを抱いていたはずなのに、最早そんな感情は消えていた。
今は、目の前のAが可愛く見えて仕方ない。
自覚してしまったその感情にキバナが頭を抱えているそばで、やっと平常心を取り戻したAは首を傾げていた。
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真希(プロフ) - 匿名さん» ご指摘ありがとうございます、よくよく見てたら１箇所完全に誤字してましたね…； 他の箇所は恐らく大丈夫かと思いますので…教えていただきありがとうございました！ (2019年12月27日 19時) (
レス) id: c3944fcbfe (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - アラベスクタウンのジムリーダーはポプリさんではなくポプラさんですよ…(小声) (2019年12月27日 15時) (レス) id: 99879ec7c1 (このIDを非表示/違反報告)
真希(プロフ) - 山葵さん» こちらにまでコメントいただいてめちゃくちゃ嬉しいです…！(；▽；) 頑張って書き上げますので、もう暫くお付き合いいただけると嬉しいです！ (2019年12月18日 2時) (レス) id: c3944fcbfe (このIDを非表示/違反報告)
山葵(プロフ) - 真希さんの書くキバナさん、ほんとに好きです…！！！！頑張って下さい！！！ (2019年12月17日 23時) (レス) id: 40ec5f6136 (このIDを非表示/違反報告)
真希(プロフ) - ハイサネさん» コメントありがとうございました！バトル風景書いたの初めてだったので、きちんと伝わっててほっとしてます…！応援もありがとうございます、とっても励みになります！ (2019年12月17日 19時) (レス) id: c3944fcbfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真希 | 作成日時：2019年12月6日 2時
