ifの話ーKPー (ページ8)

今日:28 hit、昨日:18 hit、合計:140,930 hit

２ページ8

…

ショッピングモール付近の公園。10時5分前。

ベンチに座っていると、ラインが届いた。岸くんから。

開いてみると、

『ごめん！ 5分遅れる！』

岸くん……！

まあ、ドタキャンされなかっただけよかったと思ってあげる。

寒い中待たされ、岸くんは結局10時8分にやってきた。

「道が混んでた！ガチさっせん。次はしない、命かける」

岸くんは命を何個持ってるの？何回も命かけられたんだけど俺。

「許すけどー、今日のデート代全部払ってよ」

「えっ、いやそれはちょっと……」

目を泳がせながら焦る岸くんは、本当に奢りたくないんだろう。

「嘘だよ。ほら早く行こう？」

もうちょっと泳がせたいところだけど、時間がもったいない。

岸くんの顔を見れば、にっこり満面の笑み。

それを見ただけで遅刻なんてどうでもよくなる自分がなんか悔しかった。

…

ショッピングモール内は、平日なので少し空いていた。

2人で目的のお店へ向かっていると、ふと近くにある雑貨屋さんが目に留まった。

「あ、紫耀だ」

「え！どこ？」

驚き顔の岸くんが俺の指差した先を目で追う。

そこにいるのは、ゴリラのぬいぐるみ。まあまあ大きいやつ。

「あっ、そういうこと！？びっくりしたー」

笑いながらゴリラの胸板を撫でる岸くん。

……筋肉チェック？

「岸くんもいるよ」

なぜかゴリラに嬉しそうな岸くんに、ついでにその隣の猿も指差してみた。

…