ifの話ーKPー (ページ46)

今日:18 hit、昨日:18 hit、合計:140,920 hit

３. ページ46

…

「ふっ……、岸くんガン見しすぎだから！」

「ちょっ、おい！」

紫耀がにやける顔が見えたと思ったら、視界が急に真っ暗になった。

あれ、俺、目隠しされてます！？

なんか思っていた自然な様子と違うよ！

「紫耀！見えないから！」

目元に当てられた手を引き剥がし、再び紫耀に視線を送る。

その耳はほんのり赤い。……なんで？俺なんかした？

俺がそれを聞くその直前、紫耀がいきなり「あ！」と声を上げた。

「どうした？家の鍵閉め忘れてた？」

「家の鍵は閉めた……閉めたよな？てか、そうじゃなくて！思い出したの、さっき言おうとしたこと」

そう話す間にも、カメラのシャッター音はスタジオに響き渡っている。

こんな大勢のスタッフさんたちが見ている前で言っていいやつなの！？

「さっき廉が岸くんの弁当食ってたよ」

言っていいやつだった。いやそれより……ええ！？

「俺のお昼は！？」

「でも半分くらいは残ってたから」

「あ、じゃあいいか」

「え、いいの？」

頷く俺に紫耀は半笑いになる。スタッフさんの笑い声も聞こえてきた。

だって、俺の昼ご飯が減っても、なんだかんだ優しい紫耀がちょっとはおすそ分けしてくれるだろうし。

だめって言われてももらうから大丈夫っす！

「まあ、少しくらいは俺のを分けてやってもいいけど」

そう微笑む紫耀になんかキュンとさせられた。

でも本人は無自覚だろうから、俺もその気持ちは奥に隠しておこう。

「あざす！」

代わりに俺が満面の笑みを向けると、一瞬顔を逸らされた。その顔はにやついているし、やっぱり耳も赤い。

その真意はよくわからないけど、わからないくらいが俺らに合っていて心地いい気もするね。

なんにせよとりあえず今確信していることは、お昼の時間が楽しみだ！

―END―

…