ifの話ーKPー (ページ45)

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ジェスチャーで「ごめん」と告げる。廉はフッと笑いながら取材に戻ってくれた。よかった。

「ねえ、」

その取材の様子をなんとなく眺めていると、再び隣から話しかけられた。今度は小声。

なに、と返そうと振り向いた瞬間、

「おぅっ！？ちょ、ッ」

首に！手が！

そっと撫でまわしてくるその手。

くすぐったい……っていうか、触り方がなんか、その、あれだ！

「ふはっ、岸くん、廉がインタビュー中なんだから静かにしないとだめだよ？」

「……ッ、むりむり！」

そこ弱いんだって、知ってるくせに！

立ち上がって全力で避け、その手を握って制御する。

「紫耀、そういうのはほら、家で、な、」

「そういうのって？どういうの？」

紫耀が太い眉をひそめる。俺またからかわれてる？

……いや、この顔はガチでわかってない。ガチでくすぐっただけのつもりだったやつだ。

「どういうのって、ねえ……」

やらしいこと考えてました、とか言えねえじゃん。俺変態になっちゃう！嫌だよ！

なんと返せばいいかわからずモゴモゴしていると、そばにあるドアがガチャリと開いた。

「岸くんと紫耀、そろそろ撮影だって」

ドアから現れたいわげんがスタジオの方角を指差した。ナイスタイミング！

「はーい！岸くん行こう！」

「うす」

あっさり会話を終わらせた紫耀の単純さに救われながら、2人で部屋を出た。

…

スタジオには、シンプルな壁紙オンリーのセットが用意されていた。

今日はその前で仲良くしている自然な様子を撮るらしい。自由にしていいと。

そういうのはもう朝飯前ですよ！今は昼前だけど。

隣に立ってなにか話そうと隣を向いたとき。綺麗な横顔が目に入った。

「うわ、紫耀、……」

「なに？」

「いや、この角度もすげえイケメンだなと思って。あーもちろん知ってたけど！」

なにを今さらって感じだよな、うん。

でもふと見て、なんか改めてそう思った。

こんなにオーラある人と付き合えてる俺ってシンプルにすごくね？

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