ifの話ーKPー (ページ39)

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３. ページ39

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「なに？ ……え、めっちゃいいじゃん。でも遠っ！」

「1時間あれば着くだろ！」

「なげえなー！」

遠ければ遠いほど一緒にいれる時間は増えるので、俺的にはその方が好都合。

ジンも結局「おいしそうだしそこ行こう」と賛同し、俺の選んだ店の方へとルートを変更した。

それからしばらく進んでいると、

「あー海行きてえなー！」

話が途切れたと思ったらジンが突然そう言ったので、肩がビクッと跳ねた。

いきなり声出されるとちょっとビビるんだけど！

「びっくりしたー。なに急に」

「ん？なんかあれ見たら海思い出した」

ジンが右手で窓の外を指差す。その先には歩道を歩くおじさんが1人。

え、……で？

「あのおじさんのどこに海を感じるの？」

「そっちじゃねえよ！奥、東京湾」

言われてやっと、そんなところにいるなと気づいた。

「あ、そっちね。俺も海行きてえなあ」

「夏に行こうよ！ 2人で」

「2人」を強調しながらジンは笑う。

その顔がちょっと色っぽく見えて目を逸らそうとしたとき、ふとあることを思い出した。

「おう。……そういやさ、俺の青いパンツってジンの家にある？」

「なんで今パンツの話するんだよ！」

「マジで今出てきたんだもん。俺の家にないんだよね」

俺の言葉に「えー」とジンが考え込む顔をしながら、ハンドルを右に回す。

「俺も見てないよ。どっかのホテルに置いてきたんじゃないの？」

「マジかよ最悪じゃん」

「買い直せばよくない？お揃いでさ」

「……だな！」

お揃いがまた1個増えるなら、なくしたのもまあ悪くねえのかな。

海に買い物に、今日だけでジンと一緒の予定が詰まっていく。

もちろん仕事も大切だけど、撮影が延期になってよかったと今日だけはこっそり思った。

―END―

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