ifの話ーKPー (ページ32)

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その後ポップコーンとドリンクが2人分渡されたところで、俺らは劇場の中に入っていった。

「いやー楽しみだなー」

席に着きながら笑いかけると、廉も「おおん」と笑う。

今から観るのは世界的に有名なアニメ映画の実写。

廉はそんな興味ないかなと思ってたけど、試しに誘ってみたら即OKだった。誘ってみるもんだな！

「廉こういう映画よく観るの？」

「まったく？それこそ岸さんの方がこういうの好きやん」

え、じゃあなんでOKしてくれたの？

……そう尋ねようかと思ったけど、それよりもさっきから気になることがひとつある。

「廉さ、最近岸さん呼び多くね？」

とくに今日はずっとそう呼ばれているような。

まあなんて呼ぶかは廉の自由だし、別にいいんだけど、なんか気になる。

俺の質問を聞いた廉は、なぜかだんだんにやつきだした。

「えー嫌なん？」

「嫌って言うか、ほら、優太って呼ぶの廉だけじゃん」

だからこそ、廉から下の名前で呼ばれるのは割と気に入ってたんだよなー。

俺がそんなことを思っていると、突如イケメンな顔がグッと俺の顔に近づいてきた。近い！

「廉、どうし、」

「優太」

「っおう、」

……びびったー。

耳元で囁かれた。心臓に悪いわ。

俺が驚く一方で、廉はしてやったりなドヤ顔。

「優太は、俺には優太って呼んでほしかったんやな～」

そこまでは言ってないんだけど、廉が嬉しそうだからもうなんでもいいっす。

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