ifの話ーKPー (ページ28)

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…

「……いいよ。今度会ったとき、お祝いしよ！」

『ふーん、そっかー……』

そこでいきなり、紫耀の声が途切れる。

あれ？どうしたの？

「紫耀？」

俺が名前を呼んだ直後。

ピンポーン、というチャイムの音が響き渡った。

こんな時間に誰？

「ごめん紫耀、ちょっと待って……、え！？」

嘘、なんで！？

インターホンのモニターを覗いた先にいたのは、こちらに向かって手を振る紫耀だった。

『かいと～』

スマホとインターホンが連動するように、２つの機器から紫耀の声が聞こえてくる。

「えっ、なんでいるの！？」

『ごめん、やっぱり会いたくて、来ちゃった』

はにかむようなかわいい笑顔。

来るなら来るって言ってくれればいいのに、こんなサプライズしてくるなんて。

ほんとにこの人はどこまでもかっこよくて、俺のことをわかっている。

「すぐ開けるから！！」

通信を切り、急いでエントランスのドアロックを解除した。

それから数分で紫耀が家の前までやってきたので、玄関のドアをガチャッと開ける。

「よっ」

会いたかった人が目の前で笑ってる。

もうそれだけで、俺のリミッターはパキーンと外れちゃったらしい。

「紫耀～ッ！」

「おわっ！」

紫耀が靴を脱ぐより先にその胸の中にダイブした。

本物だ。声だけじゃない、ちゃんと実体のある紫耀だ。

「お前激しいわ」

「ふふ。ほんとはね、めちゃくちゃ寂しかったの」

「ははっ、もう寂しくないだろ？」

「うん」

ぎゅっと抱きしめ返してくれる腕が心地いい。このまま寝れそう……。

…