ifの話ーKPー (ページ27)

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その先：平野 × 髙橋ページ27

髙橋side

家でひとり、スマホのスケジュール帳を開く。

「……へへ、」

それを見ながら思わず笑みがこぼれた。

日付の隣には「1か月」の文字。

今日で、紫耀と付き合ってちょうど１か月になる。

もうそんなになるのか。なんか実感わかないなぁ。

今日は紫耀が遅くまで仕事なので、この記念日に一緒にいられないのは少し寂しいけど。

「まだかな……」

会えない代わりに、仕事が終わったら電話をかけてくれる約束をしている。

家でソファに座りながらスマホを確認。もうすぐ10時。長引いているのかな。

「あ、お風呂」

電話に浮かれて入るの忘れてたや。

ずっと待っていても時間がもったいないし、今ぱぱっと入っとくかな。

立ち上がってお風呂場に向かい、湯船を洗ったところでお湯はりオンにセット。

お風呂が沸くまでリビングでスマホをいじっていると、それが唐突に震えだした。

……あ、紫耀だ！！

「紫耀！」

『取るの早っ！』

１コールで出てやりました！

電話の向こうで、紫耀が驚きながらも笑っているのが感じ取れる。

「俺ずっと待ち構えてたから！」

『はは、だろうと思った。もっと早く電話したかったんだけどさー』

「ま、……仕事だもん、仕方ないよ」

待ち長かった、と言いそうになったけどやめた。

紫耀だって、疲れているのを隠して優しく話してくれているんだから。

甘えすぎちゃだめだ。

「それに、電話できるだけで俺は嬉しいよ」

『ほんとに電話だけでいいの？』

……せっかくそうやって強がっていたのに、紫耀は俺の本心を突こうとしてくる。

よくない。ほんとは会いたいよ。

でもそんなこと言えない。紫耀を困らせちゃう。

…