ifの話ーKPー (ページ17)

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君と蕎麦、君の側：岸 × 髙橋ページ17

髙橋side

ズズズー。

蕎麦が岸くんの口の中へと吸い込まれていく。

「岸くん」

ズズズー。モッチョモッチョ。

「岸くんってば」

「はに？」

やっと俺を見てくれた。

「飲み込んでから喋ってよ」

「……っん、海人が話しかけたんじゃん！てか食べないの？」

ごくん、としっかり飲み込んだ後に岸くんが目を丸くしながら叫んだ。

俺と目が合いながらも、岸くんの右手は次の麺をすくっていて、なんかちょっとつまんない。

最近会ってなかったから、「ご飯一緒に行こう」って誘ってくれてすごく嬉しかったのに。

目当ては俺より蕎麦かよっ！

周りを見渡す。３つ隣に家族連れ、さらに奥にサラリーマンっぽい人が1人。誰かに話を聞かれることはなさそう。

「岸くんに問題です。岸くんは俺と蕎麦、どっちの方が好きでしょう」

お箸をおぼんに置いてから問いかけた。まだ一口も食べてないけど。

「それはもちろん、……海人だよ」

「今なんで一瞬止まったの？」

「いやだって、海人と蕎麦は比べるあれじゃないっしょ！」

あれってどれやねん！

……と言いたいところだけど、まあそれはそうなんだよね。

ただ俺が、ちょっと蕎麦に嫉妬して寂しくなってただけ。

岸くんの頭にはてなマークが見える。急にどうした？って絶対思ってる。

それを見ていたら、なんかこんな質問をしている自分が恥ずかしくなってきた。

「それより、食べないの？」

岸くんが俺と俺の前の器を交互にチラ見した。

「そうだね、うん、ごめんなんでもない！いただきます！」

せっかく岸くんおすすめのお蕎麦屋さんに来たんだから、食べなきゃもったいない！

…