惑わし惑わされ：平野 × 岩橋 ページ13
平野side
パカパカーン！
軽快な音がしたと同時に、ボールがピンを弾き飛ばした。
「あ〜悔しい〜！」
２本残ったピンを玄樹が恨めしそうに見つめてる。
「もっとこう……、ぼーんって感じに投げたら？」
「ぼーんってなに？」
「あ、ぼーんじゃないか。ばばーん？」
「全然わかんない」
軽く頬を緩める玄樹。かわいいなぁ。
今日のデートは、2人とも体を動かしたかったのでボウリング。最近してないから腕鈍ってるかも。
電子掲示板の名前が「ゲンキ」から「ショウ」に切り替わったので、次は俺がボールを抱える。
「紫耀、お手本見せてよ」
後ろのソファに座った玄樹がいたずらっぽく笑う。
玄樹にそんな言われたらやるしかない！
「任せろ！ 平野行きます！」
振りかぶって、ばばーん！と、投げる！
綺麗にまっすぐ進んだそれはド真ん中に直撃。ひとつ残らずピンは倒れた。
「っしゃあ！」
「すごい！」
なんか俺、今日調子いいかも！
ソファから立ち上がる玄樹とハイタッチしながら、その理由はこいつかなと考える。
好きな人がいると緊張するって人もいるだろうけど、俺はその逆かもしれない。
「え、なに、どうやって投げてんの？ こう？」
「なんかー、俺もよくわかんないんだけどー、」
俺のフォームを真似る玄樹の隣に立って、投げ方の再現。
腕を振ってステップして……なんだこれダンスレッスンみたいだな。
「わかった！ こうでしょ！」
そう言って玄樹が体を動かす。その直後、ふわっと甘いにおいが漂ってきた。
なんて言うんだっけこのにおい……。
ふら、ふり、ふる、ふれ、……あ、わかった！
…
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作者名：ひまっくす | 作成日時：2020年2月19日 0時
