ifの話ーKPー (ページ2)

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…

「なにが？」

見つめた理由まで知られるのは耐えられへんので、すっとぼけて知らんふり。

でも紫耀には、俺の心の中なんてお見通しらしい。

「……は？ちょ、」

突如左手に伝わるあったかい温もり。

男らしいその手が、俺の左手を包んでる。

いや繋ぎたいと思いはしたけど、そんないきなり！？心の準備できてへんから！

「紫耀、おい、」

「……こうしたかったんだろ？」

紫耀が正面を向いてるせいで、目は合わない。

イルミネーションに照らし出されたその横顔は、少しだけ赤く染まっていた。

「……でも、ここ街中やで」

「誰も見てねえから大丈夫だって。ゴミみたいな人いっぱいいるし」

「ふっ、人がゴミのようって言いたいん？」

「あ、そっちか」

「ゴミみたいな人って、まあまあな悪口やからな？」

てか、人がゴミのようだ、やったとしてもこの状況で使うのは合ってるん？

紫耀の発言はいっつも斜め上を行くから、振り回されてばっかり。

でもそんなところに俺はいつだって笑わせてもらっとる。今も。

2人で手を繋ぎながら歩く道は、不思議とさっきよりも輝いて見えた。

…

「あ、やばい。廉あと5分で7時」

待ち合わせ場所から結構進んだところで、紫耀がふと止まって俺の方を振り向いた。

え、もうそんな時間なん！？

「嘘やん！」

慌てて俺も確認したけど、確かに7時の5分前。

ここからあの店まで、5分じゃ行けへん。ゆっくりしすぎたわ。

電話で連絡でもしとったがええかな……。

と、そのとき。繋がれた左手がいきなりぐいっと引っ張られた。

…