�� ページ28
《神宮寺》
目が覚めると廉はいなくて、でも、廉の声は聞こえた。電話してるみたい。
盗み聞きするつもりは無かったけど、静かな部屋には聞こえてくる。
そして聞いてしまった。廉が仕事を断っているところを。そして、嘘をついてるところを…。
廉は仕事あるんだ。
仕事あるのに、俺が体調悪いから断ってるんだ…。
俺が、体調悪くなければ仕事に行ってたんだ。
しかも、断るとき自分(廉)が体調悪いって言ってる。嘘をついている…。いや、つかせてしまったんだ…。
俺のせいだ…。
ﾄｺﾄｺ…
廉の足音がする。こっちに来る。
俺はとっさに寝たふりをした。
ｶﾞﾁｬ
廉「熱下がったかな…。まだ気持ち悪いん残っとる…？大丈夫か…？」
廉が独り言を言っている。
俺はそっと目を開けた。
廉「神？大丈夫？熱計っても良い？」
俺は首を縦に振った。
廉は手際よく熱を計った。
廉「神、ちゃんと休まな、あかんで？」
『何度だったの？』
廉「38,9℃」
38℃いってない程度だと思っていたけど意外と高くてビックリした。
自覚したとたん、体調が悪化した気がする。
廉「神？大丈夫？気持ち悪いん？顔色あんま良くないで？」
大丈夫。そう伝えようとした。
でも、ずっとムカムカしていた気持ち悪さが込み上げてきた。
俺が口を抑えると、廉はさっと洗面器を口元に持ってきて、優しく背中をさすってくれた。
廉「気にせんと、出し？俺は気にしてへんから。大丈夫やで。」
そっと声をかけてくれた。
『ウｯ…ｵｪｯｹﾞﾎｯｹﾞﾎｹﾞﾎ…ｹﾞﾎﾞﾎﾞﾎﾞｵｪｯｹﾞﾎｯｹﾞﾎｹﾞﾎ』
俺は生理的な涙と、また別の涙を流した。
廉はずっと「大丈夫やで」ってそっと声をかけてくれた。
気持ち悪さは無くなった。
でも、廉に申し訳ない気持ちが大きくて、なんて言えば良いか分からなかった。
廉「もう大丈夫？」
『ん。ごめ…。』
廉「ほんまに気にせんといて？迷惑とも、嫌とも思ってへんから。」
迷惑かも。本当は迷惑なのに、無理してるのかも。さっきだって、仕事の時嘘ついてた。今だって、俺のために嘘ついてくれているのかもしれない…。
そう思ったら呼吸がしにくくなって、思うように息ができなくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏多(プロフ) - 初めまして！キンプリの体不ネタ最高すぎてもうめっちゃ好きです！お時間あればで全然大丈夫なのですがリクエスト失礼致します練習に夢中でご飯食べるのも休憩摂るのも忘れちゃった岸くんが低血糖に陥る話がみたいです！出来れば誰かに看病して貰っていたら嬉しいです！ (8月26日 3時) (
レス) id: 91b56381ed (このIDを非表示/違反報告)
由真(プロフ) - リクエストですが、紫耀くんが普段からお腹を下していることが多く、小も近く、トイレに間に合わないことが多く、また、夜尿症もあるため、オムツが手放せないため、岸くんと廉、海人がお世話してあげている話をお願いします。 (2020年6月30日 5時) (レス) id: dee5ef993d (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ - リクエストお願いします。玄樹くんがストレスで倒れてしまって、仕事を辞めたいと言うけど、メンバーが支える話を読みたいです。よろしくお願いします。 (2020年3月20日 0時) (レス) id: 2dac721c91 (このIDを非表示/違反報告)
ひらめ - 海人君が幼児退行してじぐいわが抱き締めながら話を聞くのをお願いします！ (2020年3月19日 15時) (レス) id: 579ffd5296 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：☆ | 作成日時：2019年12月22日 21時
