孤爪家長女の日常【HQ】

孤爪家長女のGW8 ページ22

*


｢＿“脳”が正常に働くために。行くぞ｣

｢｢あス!!｣｣

｢…やっぱりこれ恥ずかしい｣

｢クロが頑張って考えたんだよ、我慢｣

｢我慢ってなんだ、我慢って｣

いやだって私もちょっと恥ずかしいもん。
でもクロが、あーだこーだ徹夜で考えてたの知ってるから。


｢それじゃみんな、1本目気をつけてね。犬岡は飛びついて大丈夫だから｣

｢あス!!｣

私はきっとくるだろう、性格のわるーい1本目をみんなに昨日のうちに伝え、再度確認する。
これで“全部”知ってる、の意味も十分伝わるかな。


｢イケメン見とけよ!!｣

｢虎ちゃんの方が男前だよ｣

｢おぅふっ…Aさんんんっ!!｣

コートに入り、青城の及川くんを見て威嚇する虎ちゃん。
虎ちゃんの方がほんとに男前に見えるから、それを伝えると胸を押さえて悶えてる。


ピッと主審が笛を吹き、研磨サーブで試合がスタートした。
研磨のサーブは、角(コーナ)ギリギリのいいコースに打たれたがさすが強豪校、なんなくセッターにレシーブが届く。


そして…“きた”。

スパイクモーション…からのエースへセットアップ。


犬岡を及川くんに飛びつかせ、残り2人はエースをしっかりマーク。


｢人の驚愕した顔って…なんでこんなに見てて楽しいのかな｣

｢ほっほ、読み通りだな｣


しっかりエースへマークがついていた事に驚愕する青葉城西。
エース、岩泉くんの攻撃をやっくんがしっかりあげ、研磨の少ないモーションからの犬岡の速攻で音駒が先制点をとった。


｢犬岡ナイスキー｣

私のその声で及川くんとパチリと目があう。口パクで“知ってるよ”と言うと…

｢あ、挑発しちゃったかも｣

｢A…｣

｢コーチ、わざとじゃないです……一応｣

及川くんの額に青筋が浮かんだような…。


うっ…クロもジト目でこっち見てる。
やっちゃったもんはしょうがないから、クロに口パクで頑張れをする。


｢わりぃ、コース絞られた｣

｢岩ちゃんごめん、完全に俺の動き読まれてた。しかも挑発までされちゃった…やってくれるなぁ……Aちゃん｣

｢情報収集力、相当警戒したほうがいいな｣


青葉城西からこんなに警戒されているとは知らずに。

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