孤爪家長女の日常【HQ】

孤爪家長女の通学 ページ3

*


｢いってきまーす｣
｢いってきます…｣


準備も無事に終わったし、時間もいつも通り。


｢遅刻しなくて良さそうだな｣

｢初日から遅刻なんてしない｣

｢起きなかったじゃん｣


研磨の言葉に私は少し顔を顰める。


｢そんなこと言う研磨にはせっかく作ったアップルパイあげない｣

｢いる｣

｢あげない｣

｢いる｣

｢あげ｢朝から喧嘩すんなって｣喧嘩じゃない｣


じゃあ何だと疑問の目を向けてくるクロ。
そんなの決まってるでしょ。


｢ただのじゃれあい？｣

｢なんで疑問系なの、まぁ喧嘩じゃないけど｣

｢じゃれあいって…仲良しかよ｣


当然、と言うように研磨と私はクロを見る。


｢昨日も2人でゲームして夜更かししてたんだろ｣

｢ずっと待ってた新作だったし｣

｢クロ、構ってもらえなくて寂しかったんでしょ｣


さっきの仕返しをしようとニヤニヤとクロを見る。


｢別にー、寂しくなんかないでーす｣

｢素直に白状しなよー｣

｢他所でやってよ、そういうの｣


駅近くで騒ぐ私とクロを見て目立ちたくないと判断した研磨は、私達から離れるようにサッサと歩いていく。


｢ちょ、研磨前見て歩けよ!｣

｢クロ過保護｣

｢絶対ぶつかるやつだろ｣

｢それが不思議なことにぶつからないの｣


いつ見てもほんと不思議。
ゲームしながら歩いてるのに。


｢ほら、早く研磨追いかけよ｣


止まっているクロの手を握り歩き出す。
チラリとクロを見上げると少し赤く染まる耳。


｢クロ照れてるの？かわいー｣

｢うるさいデス｣


さっきの仕返しできた、満足。

少し遠くなった研磨を追うため、クロの手をギュッと握りなおし足を進める。


｢(あー、A可愛い…さっきの仕返しされた)｣


私に手を引かれながら、顔を大きな手で覆うクロ。
クロなにしてるの？と思いながら駅へと急ぐ。
この後電車でクロに仕返しされることはまだ知らない。

孤爪家長女の学校→←孤爪家長女の朝

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す