孤爪家長女の朝 ページ2
*
ジリリリリ、ジリリリ…
けたたましい音が鳴り響く。
目覚ましの持ち主孤爪Aは、毛布から少しだけ頭を出し起きる気配はない。
ガチャりと扉が開き、目覚ましが止められる。
「姉さん、目覚ましうるさい」
嫌そうな顔をしながら目覚ましを止めたのは、Aの弟研磨。
「はぁ…遅刻するよ」
研磨が声をかけるも、一向に起きる気配のないA。
そんなAをまたか、とういうように見やり携帯を取り出しどこかへ連絡する研磨。
「姉さんの専属目覚まし呼んだから」
寝ているAにそう声をかけ、研磨は部屋を後にした。
数10分後、未だ起きる気配のないAの元へ訪問者が1人やってきた。
「ったく、専属目覚ましってまたかよ」
研磨に呼び出されやってきたのは寝癖が特徴的な黒尾鉄朗。
黒尾の顔はまたか、と言いながらも僅かに緩んでいる。
膨らんでいる布団に近づき、頭を隠している毛布をゆっくり下げた。
「Aチャン、いつまで寝てんの」
「…んぅ」
Aの耳元に唇を寄せ、含みのある声で呼びかける。
少し身じろいだAだが瞼は閉じたまま。
「遅刻しますよー3年初日ですよー」
いいのかー?とでも言うようにAに言葉をかけるが、うるさいと言わんばかりに下ろした毛布が頭にかけられる。
「起きないAが悪いんだからな」
ギシリと音をたてベッドに乗る黒尾。
毛布を剥ぎ取り、パジャマに身を包んだAへ手を伸ばした。
「ッ!?…なに、も……くすぐった、クロ…やめっ」
「起きないAチャンが悪いんですー」
「おき、る…ふふっ、ちょっ…起きるって!!」
馬乗りになった黒尾を何とか押し退け起き上がるA。
「はっ、はっ…クロ」
「おはよ」
短く息を吐き出しながら、物凄く嫌そうな顔で黒尾を見るA。
対する黒尾はニヤニヤと笑みを浮かべる。
「おはようじゃない、これやめてって何回目」
「起きないAが悪いってちゃーんと言ったぜ」
「聞いてない!!」
「じゃあ、次からは別の起こし方にするか」
グッとAに顔を近付け
「王子様のおはようのチューとか?」
頬にチュッと唇を寄せる。
「王子様って誰」
「目の前にいるでしょ」
「冗談はその寝癖だけにして」
「顔赤いぞ」
「うるさい、着替えるあっち向いて」
絶対やり返す、そんなAの呟きを聞きながら黒尾はAに背を向けた。
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ゆい(プロフ) - ちょっとエッチが入っていると読むこっちがすごいハラハラします‼️ (2022年2月3日 20時) (レス) id: da308acd1e (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続き楽しみにしてます🎶 (2022年2月3日 20時) (レス) id: da308acd1e (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!!楽しく読んでいただき嬉しいです。更新間隔が空いて不定期更新になってますがこれからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2020年6月2日 23時) (レス) id: fa8d374c63 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます!すごい好きです(*≧∀≦*) (2020年4月23日 10時) (レス) id: 8e9acf94c3 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - moekaさん» 更新が開いてしまいすみません(><)なかなか更新できませんがこれからも読んでいただけると嬉しいです! (2020年4月23日 0時) (レス) id: fa8d374c63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんりん | 作成日時:2020年1月23日 14時