【HQ!!】マフィアを押し倒したら誘拐されました。

非日常20日目 ページ21

脳内会議の結果、取り敢えずまとめて縛っておくことになった。


それが1番妥当な考えであることを願いたい。


垂れる汗を拭い部屋を見渡せば、最初の頃よりかは遥かに綺麗になっていた。


荷物の上や床のホコリは殆ど取り除き、千と千尋〇神隠しでやるような雑巾がけを何周も繰り返してやったからだろうか。



これでやせられたら苦労は無いんだけどね？


ふぅ〜と一息つき、窓の近くに立てば海が見えた。


私の住んでいる地域は海沿いの街より遠く離れているはずなのだが…。


まぁ、なんくるないさぁ〜と自己完結させ私は掃除の続きを始める。


やめられない、止まらない。


掃除の楽しさがひしひしと伝わる。


けれどこの部屋には私しか居なくて、ひとりぼっちになったという孤独を感じてしまう。

頭の中に浮かんできたのは学校の合唱曲。


懐かしいなと一人で微笑み、そして口ずさむ。



生憎透き通ったソプラノパートでは無いため、メロディーを口ずさむ事は無く、私が所属するアルトパートの部分を口ずさむ。


何でも出来る人じゃ無いし。


透き通った美しい声なんて出せない。

別にそこはわりとどうでも良かったりする。アルトパート(たまに男性パートに入ったりするけれど)でも満足に合唱していたし。

友達が恋しい。



…いや、



そんな事を思っている暇はない。



私は生きて皆の元へ帰るんだ。


『心配かけてごめんね。』


『ただいま。』


って。


絶対に帰ってやるって決めたんだ。


弱音を吐く暇なんてない。


一度だけ深呼吸をして真剣に掃除の続きを始めた。

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