雪柱の覚悟 (ページ13)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:6,997 hit

拾弐ページ13

Youside

蟲「ふぅ、やっと帰りましたか」

柱が出ていってしのぶが本音をこぼす

『柱が大勢来たら治療中の隊士も落ち着かないもんね』

蟲「それもありますが、Aさんと2人でお話がしたかったんです」

しのぶからいつもの笑顔が消える

真剣な顔だったので私も身構えしのぶの次の言葉を待つ

蟲「Aさんの会った上弦の弐は……私の姉を殺した鬼です」

息が詰まる、上手く呼吸が出来ない

しのぶの姉はカナエさんと言って花柱であった

私と同じく鬼と仲良くなれればいいのにという考えをもつ剣士だった

上弦によって殺されたとは聞いていたが、上弦の弐の仕業だったとは……

蟲「……姉からその鬼の特徴は聞いています、他にその鬼の血鬼術などわかったことがあれば教えていただきたいのですが……」

私は隊士を守ることに精一杯で上弦2体の情報をまったく掴めなかった

『ごめん、分からない、』

私は何をしているのだろう、柱なのに、上弦2体には逃げられてしまった上に何の情報も得られず、のこのこと帰ってきてしまった

蟲「いいえ、いいんです。」

しのぶはいつもの笑顔に戻り、病室で休んでいてくださいと優しい声で言った

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

病室にて

しのぶはきっと上弦の弐をカナエさんの仇を自分でうとうと考えているんだろう

カナエさんが亡くなってから、貼り付けたような笑顔、以前よりも増えた毒の実験、復讐に生きているようだ

本当はしのぶには笑いたい時に笑って欲しい、復讐に生きて欲しくもない

きっとカナエさんもそう思っている

でも正論は時に人を傷つける

鬼殺隊には鬼を恨み復讐に生きているものが殆どだ

私自身も肉親を鬼に殺され、鬼への恨みをバネに最終選別を突破した

でも、鬼狩りを続けているうちに気づいてしまった

鬼も人間なのだと

生きているのだと

生きるために食べる、それは鬼だけでなく人間もしている

鬼が悪だとはいえないと

そんな時、人を喰らわない鬼と出会った

珠代さんと愈史郎さんだ

2人の鬼を人間に戻す薬の研究に私も携わっている

いつ、完成するだろうか、完成したとして鬼殺隊は鬼が人間としてまた生きることを許せるだろうか

鬼殺隊の仲間が大切で、でも鬼の命も踏みつけにはしたくないそんな複雑で矛盾した想いがAの中で渦巻いていた