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i.助けてと言ったとしても ページ9

「おい...誰が連れて行く事を許した?」

怒りに近い感情を込めた声で廻さんに言葉を投げかけるアイツ。

「いや、言葉を誤った。コイツを“借りる”。
...それに、今戦いになっても不利なのはどう考えてもお前らだ。また仲間を失うか?」

「...チッ、返せよ。」
「ああ。そのうち、な。」


そう言って2人だけで話は解決した。

(私、アンタらの物じゃ無いのに。)

外に出たらそこには何台かの車。
そして車に乗せられた。


隣に乗り込む廻さん。
車が出発し、車内は無言に包まれる。

そしてその無言を破ったのは

「なあ。」

廻さんだった。

「はい。どうしました?廻さん。」

やっぱり彼の名前を口にすれば瞳の色が暗くなる。

「何故、俺の名前を知ってる?」
「...え?
あ、私です。Aです廻さん。
何故かわからないんですけど次は私が来ちゃいました。ははは…っ」

背中にツーっと汗が流れたのがわかった。

「そんな女、俺は知らない。

それよりその情報はどこで手に入れた。」

「な、何言ってるんですか?」

なんで、こんなことになったのか
そんなこと、私が一番知りたいよ。

「お前は、何者だ。」

ねえ、誰か 答えを教えて



「さあ、なんで、でしょうね...」


涙がこぼれ落ちた

こんな再会
誰が望んだ


「私が...貴方を、一方的に 知ってっ、る から、です...かね?」


涙を流していた私を

蔑むような目で見る彼が

私の涙を拭ってくれることは

決して無かった





「着いた、降りろ。」

そう冷たく言われ、従うことしか出来なかった。

「クロノ。」
「何ですかい?」

「...どうやらコイツは、俺たちに情報を吐くつもりは無いらしい。」
「どうしやすかい?」


話の内容は嫌でも耳に入ってきた。

彼の声、目の色、態度

察するには簡単だった。

私はもう、彼に愛されてなどいなかった。


記憶から欠け落ちた私という“思い出”は、彼の中にはもう存在しないんだ。

思い出にさえなれないなんて、最悪なんて言葉じゃ表せない。
もう、私の中の全てがぐちゃぐちゃになって、意味のわからない感覚に襲われて
憎しみと、憎悪と、怒りと、嫌悪と
でも...それらを全てぶつける勇気も無く、かといって全てを背負い込む気力も、ない。


そうか
人はこういうときにこの言葉を発するのか

(ああ...死にたい。)

わたし、もう
この世界で生きていく自信なんて

助けを求めて
誰が私を助けてくれるかなんて
わかりきったことだった

― だれも、助けてくれないじゃないか ―

【i.助けてと言ったとしても】

【j.人生で一番最悪な日】をお読みになる前に※必ず目を通してください。→←h.初めて怖いと感じた彼



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座敷(プロフ) - コメント失礼します。前作も見たのですがこの作品を見てオーバーホールさんが好きになりました。取り敢えず泣けました...更新頑張って下さい。応援しています。 (2018年1月14日 9時) (レス) id: 9488622bb7 (このIDを非表示/違反報告)
紫猫日和(プロフ) - オバホぉぉおお!!!やっと!?ひゃぁ!?感情が…( ºωº )続き気になりすぎてヤバいです!更新楽しみにしてます! (2018年1月12日 17時) (レス) id: 1d1f3bbcfd (このIDを非表示/違反報告)
星無優凍(プロフ) - オーバーホール!よかった!涙が……やべぇ。更新頑張ってください! (2018年1月12日 17時) (レス) id: 2dc8ad8af7 (このIDを非表示/違反報告)
かなめ - あけましておめでとうございます!!オバホ!やっと思い出したかぁ!よかったーーd(*´∀`*)b続きとっても気になります。応援しています(*>∇<)ノ (2018年1月12日 2時) (レス) id: bf43542093 (このIDを非表示/違反報告)
Nan's - しんやさん» あけましておめでとうございます!!シリアスシーンだけだと自分の心臓が持たないので、イチャイチャシーンも入れた結果こういう形になってしまった自分勝手な小説です笑 コメント、有り難うございます!!更新頑張ります!!これからも宜しくお願いします!! (2018年1月7日 17時) (レス) id: 93e099ae7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆっこ | 作成日時:2017年12月20日 11時

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