v.思い出せないのは感情 ページ25
「何で...抱きしめてくれるんですか」
彼に問いかけてみた。まだ...違うの、雰囲気が。さっきとは確かに違う、違うんだけど...やっぱりまだ私が知っている彼じゃなかった。
「何故だろうな...俺にも、分からない」「ひどい人...」
拒む事なんて出来ないじゃないか。それを知っていて抱きしめるとかたちが悪い。でも、そういうとこは変わってなかった。
「思い出しました?」 「一部だけ」
おお、何か進展した。何も思い出してくれないよりかは全然マシだと思えた。
「どんなことを、思い出しました?」
「お前が泣きじゃくってるとこ」「どんな場面思い出してるんですか!?」
思わず突っ込んでしまった。でも、懐かしい感覚が蘇る。こんな感じの会話、久しぶりすぎてむずがゆかった。
「“愛してる”...そう俺はいっていた。過去で、だ。」
ズキン 心が痛むと同時に嫌な予感がする。
「だがそれはあくまで“思い出した”だけだ。一部だけな。確かに俺はお前を愛していたらしい。
それは紛れもない事実だ。だが、“愛していた”ことは思い出せても“愛する感情”が思い出せない。つまり今は 愛していない 俺の考えは間違っているか?」
NO
なんて、言い返せなかった。私はもう、彼の中では過去に愛した人になってしまったらしい。
「全て思い出せたなら、今の俺の思考は変わるかもしれないが...今は覆ることはない。
確かに、お前に触れることは苦痛とは思わない。俺が今着けてるネクタイはお前が俺にあげたものなのだろう?まだ、思い出せていないが“誰かにもらった”と言うことは辛うじて思い出せた。そしてそれを今着けている。それも俺がお前を愛していた証拠だ。
“愛してた”は思い出せた。だが “愛してる”が思い出せないんだ。」
ああ神様 私何か悪いことでもしましたか?彼を攻めようとなんて思わなかったいや 思えなかった
だって、そんな顔されちゃ攻めることなんてできない。
彼が全てを思い出せたならもう一度愛してくれるのかな?どうなんだろう。もしかしたらもう二度と、私をきちんと思い出してくれることもなく、一生愛してくれないのかな?そんなの 悲しすぎるよ、廻さん。
「例え貴方が、愛することを忘れても私はずっと貴方を思い続けますよ?私、しぶといですから。」
止めどなく流れる涙は、またいつもみたいに床へシミを作る。そんな悲しい光景はもう、見慣れた。
でも、そんな見慣れた景色を新しいものに塗り替えるかのように
「優しいんですね」
そっと涙を拭ってくれた彼だったのも、紛れもない事実だった。
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座敷(プロフ) - コメント失礼します。前作も見たのですがこの作品を見てオーバーホールさんが好きになりました。取り敢えず泣けました...更新頑張って下さい。応援しています。 (2018年1月14日 9時) (レス) id: 9488622bb7 (このIDを非表示/違反報告)
紫猫日和(プロフ) - オバホぉぉおお!!!やっと!?ひゃぁ!?感情が…( ºωº )続き気になりすぎてヤバいです!更新楽しみにしてます! (2018年1月12日 17時) (レス) id: 1d1f3bbcfd (このIDを非表示/違反報告)
星無優凍(プロフ) - オーバーホール!よかった!涙が……やべぇ。更新頑張ってください! (2018年1月12日 17時) (レス) id: 2dc8ad8af7 (このIDを非表示/違反報告)
かなめ - あけましておめでとうございます!!オバホ!やっと思い出したかぁ!よかったーーd(*´∀`*)b続きとっても気になります。応援しています(*>∇<)ノ (2018年1月12日 2時) (レス) id: bf43542093 (このIDを非表示/違反報告)
Nan's - しんやさん» あけましておめでとうございます!!シリアスシーンだけだと自分の心臓が持たないので、イチャイチャシーンも入れた結果こういう形になってしまった自分勝手な小説です笑 コメント、有り難うございます!!更新頑張ります!!これからも宜しくお願いします!! (2018年1月7日 17時) (レス) id: 93e099ae7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっこ | 作成日時:2017年12月20日 11時