【トリップ】星に願いを。【オーバーホール】

ｏ．心のあり方 ページ17

「待てガキィイ！！」 「だァ〜れが待つかこのクソ野郎！！」
「お前じゃぇーよ！？つか誰だテメェ！！」 「だーれが教えるかバァアカ！！」

そんな言い合いをしながらぐるぐると訳の分からない地下をさまよってます。えりは地上までの最短ルートは知ってるけどそれ以外は知らないみたい。その最短ルートからあのクソ野郎が追っかけてきたから全く知らない道へとそれてしまった。ほんとマジでないわ〜。

「止れっつってんだろ！？！？俺が殺されんだよ！！！」

そうやって叫んでる言葉に嘘は多分ない。こういうとき どうしたら良いのなんか私には分からない。私たちが逃げたらあの人は殺される でも捕まったらえりのためになんてならない。
こういうときの判断。．．切り捨てというモノはいつも残酷だ。

「Aお姉ちゃん！！私、ここの道知ってる！！」 「うっし！じゃあ一気に走るよ！」

スピードを上げて走る 息が上がろうとも関係なかった すると一つのドアが目に入った。
「あのドア！？」 「うん！」
妙に重苦しい面構えのドアを目指し一目散に駆け出す。

「一緒に開けるよ！」

そう言って手を伸ばしたら

「え！？」

勝手にあいた重苦しいドア。

「．．．えり 逃げるよさあ早く！！！！！！」

手を取ってドアと人の間を走り抜けた。


扉を開けた張本人は

今一番会いたくない人


「壊理！！」

そう叫ぶあの人の目は 獲物を捕らえる野獣そのものだった。こっちの世界に来てから彼の知らなかった素顔がこれでもかというほどあふれ出てくる。私、何にも知らないんだ彼の事。付き合ってるんだけどなあ。でも 今はもう 知りたいとも思えなくなった こわい 彼と接するのが 触れるって想像するだけで汗が止らない

(．．．治崎さん恐怖症だ)

そう思うと ハハ と乾いた笑い声しか出てこなかった

「っ．．．まぶしい」 「でも 曇ってるね」

そんなことをいってる暇なんてないのに空が何故か恋しく思えた いっそ空みたいな心の広さを持てたならこんなにも彼を憎む事もなく ずっと古傷を抱くこともなく 幸せだと感じる日々が長続きしたのだろうか そんな考えても仕方のないことしか考えられなくなったのもきっと治崎さんのせいだと思った。そんな自分勝手な私だ。

「待て 壊理．．．待つんだ」

その言葉に足が動かないえりと彼の顔を見るのが怖くって走り出す私。そんな私に腕を惹かれおぼつかない足取りで走り出すえり

そんな地獄が始まった


―顔を見るのさえ怖いと感じてしまうのは 私が弱虫なだけなのか ―


【ｌ．心のあり方】

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