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「ん〜〜、分かんない！」
「こら、手止めないの」
放課後、昨日電話で話してた通り、わざわざ私のクラスまで来て勉強(数学)を教えてくれてる加藤くん。
ただ、少しだけスパルタ。
最初は普通に教えてくれてたんだけど、途中で「どんだけ点数取れないの？」と聞かれて一学期末の結果を見せたら、2,3秒フリーズしてた。
ちなみに、赤点(30点)ギリギリでした。
「ねぇ、なんでここって2になるの？」
「だからさ、まずこの公式使うじゃん？で、……」
何度言われても理解出来てない私に根気強く教えてくれる加藤くん。
その甲斐あって、分からなかったところもほとんど分かって、明日の小テストではなんとか合格点取れそうだ、と思って一息つく。
「加藤くん、ありがと」
「分かった？」
「うん、バッチリ」
「そりゃよかった笑」
じゃあ帰るか〜と言って立ち上がる加藤くん。
一緒に帰ろうと思って慌てて荷物を詰め込んで立ち上がる。
「一緒に帰る？」
「そのつもりなんだけど…いいかな？」
「もちろん」
じゃあ下駄箱で待ってる、とだけ言って私とは反対方向へ向かう加藤くん。
待たせちゃ悪いな、と思って少し早足で下駄箱に向かう。
途中で、部活中の愛菜とすれ違って、がんばれ！とだけ伝えた。
そしたらガッツポーズをしてありがと！だけ返して急いで走っていった。
その後ろ姿が、なんだか眩しかった。
愛菜の後ろ姿に見惚れていたら時間が経ってたみたいで急いで下駄箱に向かう。
靴を履き替えて玄関を出ると既に加藤くんが携帯を弄って待ってた。
「ごめんね、加藤くん。待たせちゃった」
「ん、大丈夫。そんな待ってないから」
ってか暑いなー、自販機寄っていい？と言って自販機の方に向かう加藤くん。
私も何か飲もうかなーと思ってついてく。
「あ、加藤くん。飲み物、ごちそうさせてくれない？」
「なんで？」
「今日1時間くらい数学教えてもらっちゃってたし、帰りも待たせちゃってたから」
「気にしなくていいのに笑」
「私が気にしちゃうから」
「笑。じゃあ、お言葉に甘えて」
1番上の右から3番目のやつでいい？と言ってくれたから分かった、と返事をして買いに行く。
……ただ、ボタンがあと少しのところで届かなくて結局加藤くんに押してもらった。
必死に手を伸ばしてる私を見て、加藤くんは少し笑っていた。また笑われてしまった。
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作者名：にゅすの さくら | 作成日時：2022年7月11日 12時
