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青side
「いってぇ……」
頭を抱えて起き上がった場所に、見覚えがあった。
周りは誰もいない。
狭く真っ白い部屋にポツンと取り残されたような、そんな感覚に陥る。
緑『伊野尾、聞こえるか!聞こえたら反応しろ!』
焦る薮の声。
そっか、俺Jに喧嘩売ったんだっけな。
「なーにー」
緑『ちょっ、そんな弛い声出すのかよ』
「何だよ、心配して損したみたいな言い方」
それより、と、又々聞き覚えのある声が話題を変えてきた。
黄『通信機を取られなかったのは意外だな』
「だね」
橙『伊野ちゃん!今どこか分かる?』
「大ちゃん五月蝿いから」
橙『ごめん!で?』
だから五月蝿いって……。
「たぶんここ、本部だね」
紫『マジかよ……』
「死ぬの、怖い?」
本部がJの計画に関わっていると知った瞬間、少し耳の奥の温度が下がった気がした。
「やっぱり……」
緑『違う』
薮には何故だか本音が言えるんだ。
だからこそ、辛い思いばかりさせてきた。
緑『俺らは死を恐れてなんかいない。お前がそこにいることが、心配で堪らないだけだ』
「ま、精一杯頑張るよ〜」
紫『ずっとそんくらいのテンションでいてほしいわ』
さっきの薮の言葉、ちょっとだけ嬉しいな……とか思ったりしてる。
だからいつもの弛い感じを出した。
自分でも出来るかなんて分からない。
ここに連れてこられたのも俺が弱かったからだし、もしかしたら俺だけ先に……なんて事もあるだろうし。
「うん、頑張るね」
外が五月蝿くなってきた。
きっと俺が起きたことに気づいたんだろーなー。
何かと呑気に考える性格で、少し安堵している自分がいた。
「よし、今日も頑張りますか」
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作者名:柊 | 作成日時:2018年3月10日 23時