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ページ37

緑side

有岡が伊野尾を背中に担ぎ家まで運び込んだ。



服は所々に返り血を浴びていたから仮面を被って人目の付かない道を走ってきた。




橙「ねぇ薮」


「なんだ?」


橙「俺らって一体何?」









「ただの暗殺者だろ」




暗殺者だと答えればそれまでだし、正義の為に生きている者と言っても正解だったと思う。



でも有岡が求めていたのは、もっと違う“何か”だった。





橙「薮なら分かるでしょ。俺がそんな答え求めてないことくらい」




知ってるよ。何年一緒に生活してきてると思ってんだ。




だから本来の俺ならきっと






「お前は、伊野尾を笑顔に出来る奴だよ」






こう言うと思う。




橙「じゃあ他は?薮は、何なの」





有岡は馬鹿じゃない。



いつもは5歳児だし煩いしバカって罵られてるけど、実際は違う。




無邪気なだけなんだ。



無邪気だから年相応の落ち着きが無い。

無邪気だから誰とも正直に渡り合える。

でも無邪気だから



少しだけ誰よりも繊細だ。






青「ボソッ)……皆、俺の家族だよ」




いつから聞いていたんだろうか。



有岡の首元で呟く伊野尾に、俺らは救われた。






青「俺、迷惑掛け過ぎたよね」


橙「そんなことっ」


青「ずっと思ってたよ。俺がいなければ、任務はもっとスムーズに終わって、四人が怪我せずに済む筈なのにって」


「伊野尾、俺らはそう思ったことなんてない」


青「だったら嬉しいけど、でも俺は、やっぱり外に出ちゃいけない人間なんだよ」









『お前が外に出れば、罪のない人が死ぬことになる』





俺らが結成して2日目のこと。



伊野尾が俺らを初めて信用してくれた日のこと。






「まだ、引き摺ってたのかよ……」



青「大ちゃんも薮ぅも。皆がいたから俺は救われた。だから今度は、俺が救う番だよ」




救うって、どうやって。




俺らはもう十分幸せで、十分伊野尾に助けられたのに。

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作者名: | 作成日時:2018年3月10日 23時

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