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知念side
父さん。
父さんを、信じてはいけないのかな。
友人を亡くして、友人の両親を殺されて。
でも、それを父さんがやったと信じたくない自分がいたんだ。
それも直ぐに、裏切られることになるのだけれど。
山「知念警視正、お訊きしたいことがあります。お時間宜しいでしょうか」
それにしても、父さんが僕の親だと知ってからも同じ様に接してくれるって、どれだけいい仲間を持ったんだろう。
涼介が繰り返しても全く応答しない。
「父、さん?」
その弾みで、職場では禁じられていた父さんという単語を口にしてしまう。
岡「開こう……ね?」
圭人が少し冷静で臆病じゃない時、それは危険を察知しているという合図だと僕は知ってる。
中「入ろう。何かあってもいけないし、いないのならそれはそれだよ」
裕翔が一番辛い筈なのに、何故そんなにも僕に優しくしてくれるの?
ガチャリと開く扉。
そこには、蜘蛛の巣状に割れた窓ガラス。
倒れているガードマンのようなガタイのいい男二人。
そして、窓を向き一人ゆったりと椅子に腰掛けた父さんの姿が。
「なんだ、父さんいたなら返事───」
・
・
結局、僕は誰も護れないのかもしれない。
山「倒れていた奴等は、twinが潜んでいる組織の部下らしい。刃物で数ヶ所、警視正は頭を銃で貫かれてる。裕翔は鑑識の方に行ってるけど、収穫は無いってさ」
twinの犯行だとすれば、銃を使ったのは八乙女、刃物は有岡だ。
でも刃物ってことは、八乙女ならブーメランもあり得るよね。
それに、銃弾が頭を貫いている。
だったら小型の拳銃より、マシンガンの方が似合っている気がする。
この見解からすると、ここを襲ったのは有岡・八乙女と高木。
でも有岡か八乙女かは傷口を診てからでないと。
高木なら……父さんの体の向きからしても遠くから攻撃をしたと考えられる。
岡「知念。割れていた窓ガラスは、3つとも外から空いたと考えるのが普通だよ」
「だよね……やっぱり高木かな」
岡「俺もそうだと思う。もし高木がいたとするなら、角度からしてあのビルだ」
圭人が指差した先には、何の変哲もない、警視庁と同じ高さのビルが建っていた。
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作者名:柊 | 作成日時:2018年3月10日 23時