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中島side

そこに通う常連の情報屋が、twin等を操る例の“本部”との取引を避けたがっていた様子だったという。

その一店舗は常連の都合を理解し、店全体で取引を有利に進めようと事を運んでいた。


それに中島裕翔の両親が直接関係していた訳ではない。


その結果、本部が寄越したJは取引を不利な状況にされつつあった。

そのBARで聞き耳を立てていた客が、Jの帰りを待ち伏せし常連とあの店はグルだと唆した。

その時は宛にしなかったものの、情報屋がその後別の組織と手を組み取引をうやむやにしたのを知った。

Jないし本部全体を裏切ったとされ、そのBARのみならず会社の社員殆どが家族共々殺される始末であった。


中島裕翔の両親が直接関係していたとは言えない。


だが責任を取って貰うのが常識の裏社会に於いてそんな言い分は受け付けない。

Jや数人の幹部がそれに駆り出され、中島裕翔の両親を殺すのがJだと知ったとき、咄嗟に躊躇をしてしまった。



それはその二人が、息子『知念侑李』の友の家族だったから。



処理中に二人の息子、或いは自らの息子に犯行がバレないかもそうだったが、

何より


幾ら数え切れない程の人を殺したJであっても、良心が痛まない筈がなかったのだ。

Jが家族である中島裕翔を唯一遺したのはそれが関係しているのかもしれない、とのこと。



取引をうやむやにされ他の組織の介入を許してしまった、本部にとっては指折りの大事件である。



















山「……幾らなんでも可笑しいだろ。こんなの憶測に過ぎない。twinが知念警視正を犯人に仕立て上げようとしているだけかもしれない。それに──」


「それに、俺を唯一遺したのだって本当は、苦しみを味わわせたかったのかもしれない」




ごめん、侑李。


でもこの可能性は拭えないんだ。




既に渇ききった喉がこの冷ややかな温度を更に掻き立てているようで、声を出していて苦しかった。



岡「コピーはしておいた。いつでも上に提出できるよ。だから今は、じっくり考えよ?」




圭人の一声に、場の気温が沸点から急降下した。




知「一先ず、父さんに確認したいことがある」


岡「でも知念」


知「分かってる。危険だって分かってるよ。でも聞かなきゃ分からない。話してからの反応をこの目で確認しないと、信じられない」


山「……だよな」



渋々だったが、一旦警視正がいるであろうフロアへと俺らは歩き出した。

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作者名: | 作成日時:2018年3月10日 23時

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