afterstory＃5 引っ越し ページ27
目 "あ、俺ね、合格したら家出ようと思ってて。
大学に近い部屋借りるつもり"
"なんで？ここからでも通えないことはないよね？"
目 "Aの近くにいたいから、ただそれだけ。
それに、一人暮らしだったら気軽に泊まりに来れるでしょ"
"...一人暮らしってお金もかかるし、家事も全部一人でしないとじゃん。大変じゃない...？"
一人暮らしを始めたら泊まりに行っていいんだ、って嬉しさはあるけど。
目 "俺がそうしたいと思ったから。
Aは心配しないで"
"...うん、分かった"
蓮は一度決めたら引かないから、私が折れるしかなかった。
.
.
「蓮、これはどこに置けばいい？」
目「そこ置いといて、あとは俺がするから」
「分かった」
蓮も受験が終わり、まだ合格発表はされてないけど、多分受かってるだろうということで(すごい自信...)先に一人暮らしの準備をすることになった。
私のトレーニングも順調で、かなり話せるようになったし、聞き取れるようになった。
でも、まだ手話は使ってるし、慣れないこともある。
その度に家族や蓮が助けてくれて、私は周りの人に支えられて生きてるんだなぁ、って実感する。
「合格発表、何時からだっけ」
目「13時だったと思う」
何を思ったのか、合格発表と引っ越しの準備の日が被ってしまった。
(違う日にしたはずなんだけどな、って蓮は言ってたけど...)
"じゃあ、ご飯食べてから見る感じかな"
目 "ま、そんな感じ"
現在の時刻、11時。
合格発表まであと2時間だ。
.
「怖いね」
目「めっちゃ緊張する...」
現在時刻、12時55分。
ご飯を食べ終えてお皿洗いもした。
受験番号の書かれた紙とスマホを前に、固まっている蓮
「大丈夫、なんでしょ？」
目「うん...」
目 "めっちゃ頑張ったから。
これで落ちても悔いはないよ"
「...そっか」
一応、他の大学は受かってるらしく、最悪落ちても大学生にはなれる。
でも、第一志望だ。
絶対に受かってほしい。
「あ、13時になった」
目「見る、ね」
「うん、」
少しでも緊張が和らぐようにと、蓮の手をぎゅっと握る。
すると、蓮も手を握り返してくれた。
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作者名：こようぃん
| 作成日時：2020年12月6日 14時
