学年一モテる目黒くんと、私。【黒】 (ページ18)

今日:16 hit、昨日:18 hit、合計:317,548 hit

＃18 理由ページ18

ある程度のところまで走って、目黒くんは止まった

息を整えていると、ごめん、の手話。

何が...ごめんなの？

何に対しての...ごめん？

目 "俺、Aちゃんのこと"

目 "好きだよ"

たくさん練習したのか、こないだよりも違和感がなくなっている手話

...私は、なんて返事をしたらいいの？

目黒くんは結さんと付き合ってるのに...私も好きだって伝えていいの？

目 "Aちゃん、は？"

"私、も..."

目黒くんに伝わるように、いつもよりゆっくり手話をする

そして、手話を必死に読み取ろうとしてくれているのか、私の手をじーっと見ている目黒くん

"私、も...目黒くんのこと、好き"

そう伝えて、何秒経っただろうか。

気づけば私は目黒くんの腕の中にいて。

目黒くんの胸をとんとん、と叩いても離してくれる気配がなくて。

むしろ、どんどん抱きしめる力は強くなっていた。

どれくらいそうしていただろうか。

目黒くんの腕が離れて、その代わりに頭にぽん、と手が乗せられた。

顔を上げると、目黒くんと目が合った。

ゆっくりと、目黒くんの口が動く。

目「待ってて。絶対迎えに行くから」

なんとなくだけど、目黒くんの迎えに行く、という意味が理解出来た気がした。

でも、私は、目黒くんのその気持ちに応えることが出来ない...

そのことを伝えようと口を開いたけど、帰ろっか、と言った目黒くんの言葉によって、伝えることは出来なかった。

.

あれから目黒くんとの関係性が変わることはなかった。

今まで通り辰哉と目黒くんと(たまにさっくんも)一緒に登校して、授業を受けて、帰る。

その繰り返しだった。

だけどある日、こんな噂が流れ始めた。

'目黒蓮が上村結と別れた'

という。

その噂はすぐに広まって、目黒くんを狙っている女子たちは大騒ぎなんだとか。

目黒くんも大変だなぁ...なんて他人事のように思う。

...まあ、実際、他人事なんだけどね。