＃11 ページ11
4組の前を通ると、みんな口々にお祝いしている様子が見受けられた。
そう見ると改めて、目黒くんと結さんは本当に付き合ってるんだ、と実感させられる。
お祝いしないといけないのに、何故か素直にお祝いできない。
そんな自分が...いやだ、きらいだ。
その日の授業は、あまり頭に入って来なくて。
ずっと、外を眺めているだけだった。
.
.
...本当に、忘れ物をする癖、無くしたい。
また忘れ物をした私は、教室に取りに行くことになった。
机の中を見て、参考書を手に取った。
よし、帰ろう。
階段を降りようとすると、偶然にも目黒くんを見つけた。
その隣には、結さんがいて。
目黒くんが少し屈んで、結さんに近づいて...
"...っ"
見たくもないのに、目黒くんと結さんがキスするところを見てしまった。
見てしまった罪悪感で、慌てて移動しようとする。
その際に角に体をぶつけて、大きい音を立ててしまったらしい。
目黒くんがこちらを向いて、びっくりした顔をしていた。
...ああ、やっちゃった。
目黒くんがこっちに来ようとするけれど、私は振り返らずに来た道を戻って、違う階段から降りようと思った。
でも、戻れなかった。
後ろから追いかけて来たらしい目黒くんが、私の腕を掴んだから。
いきなりのことにびっくりして、思わず固まってしまう。
顔を上げなければ、何を言われていても分からない。
それに、今の私には、顔を上げる勇気なんてない。
でも、目黒くんにそっと頬を撫でられて。
その行動にびっくりして顔を上げた。
何故か悲しそうな表情の目黒くんと目が合う
...なんで、そんな悲しそうなの？
結さんと付き合って、キスして、幸せなんじゃないの？
私といるより、結さんといた方が...
目「A ち ゃ ん、泣 き そ う な 顔 し て る」
目黒くんは、確かにこう言ったはず。
「目 黒 く ん が...」
目「俺 が ？」
「や っ ぱ り、な ん で も な い...っ」
私、逃げてばっかりだな。
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作者名：こようぃん
| 作成日時：2020年12月6日 14時
