＃1 出会い ページ1
深 "おはよ"
"おはよう"
深 "今日、持久走あるんだけど。だりぃ笑"
"そっか、頑張って"
深 "相変わらず冷たいな〜"
"いつもこんな感じだよ笑"
幼馴染である辰哉の手を見て、会話をする
私、佐倉Aは耳が聞こえない。
そのため、会話手段は'手話'だ。
そして、友達との会話手段は、筆談かスマホのメモ機能を使って、のどちらか。
大変だけど、それしか会話手段がないから仕方ないと言えば仕方ないのだけれど。
とんとん、と肩を叩かれ横を向くと、心配そうな表情の辰哉
深 "ぼーっとしてたけど、大丈夫？"
"うん、ごめん。大丈夫だよ"
深 "何かあったら言えよ"
"うん"
.
教室に入ると、たちまちクラスの子に囲まれる辰哉
そりゃそうだよね、人気者だもん。
私なんてもはや空気みたいで、囲まれてる辰哉を横目に大人しく席に着いた。
外の景色を眺めてぼーっとしていると、肩を叩かれた
ハッとなって横を見ると、よっ、とジェスチャーをするさっくんがいた。
佐「お は よ」
口を大きく開いて、ゆっくり言ってくれたさっくん
「お は よ う」
私も、同じように返事をした。
ポケットからメモ帳とボールペンを取り出し、何かを書き始めるさっくん
そして書き終わったのか、私の方をちらっと見た。
"今日、空いてる？"
その文字を見てから、さっくんの方を見ると、ニコッとした
今日...何もない、な。
私はさっくんを見て大きく頷いた。
再びペンを取って、何かを書き始めた
"じゃあ、お昼に屋上来て"
屋上...？
というか、空いてる？って、放課後のことじゃなかったんだ。
私は再びさっくんを見て、オッケーとジェスチャーした。
.
ぽんぽん、と肩を叩かれ、後ろを振り返るとその相手は辰哉だった。
深 "昼ご飯、どこで食べる？"
"ごめん、さっくんに呼ばれてて。今日は一緒に食べれない"
深 "佐久間に？なんで？"
"分かんない、屋上に来てって言われただけだから"
深 "じゃ、俺も着いてく。行くぞ"
私の腕を引っ張り、教室を出た辰哉
腕を掴む力は強いし、歩くスピードは早いし。
まあ、それも辰哉らしいんだけど。笑
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作者名：こようぃん
| 作成日時：2020年12月6日 14時
