＃5 ページ5
深「Aちゃん、大丈夫だよ」
「ありがとうございます...っ」
深「ちなみに、心配してるだろうから言っとくね
殴ったり蹴ったりしてないから。
警察に連れて行くの、ちょっと時間かかっただけ」
「...よかった、」
深「今も、同じところにいるよね？」
「はい、」
お礼を告げて電話を切ろうとすると、繋げたままにしてて！とのこと。
しばらく続いた会話が途切れた時、電話越しに聞こえる声とリアルに聞こえる声が重なった。
深「っはぁ、...いた」
「深澤さ...っ」
深「怖かったよね、ごめんねすぐに来れなくて」
「そんなっ、そんなこと...っ」
ないです、そう続けようとしたのに。
強がんなくていいんだよ
って深澤さんに言われて、涙腺が緩んだ。
「ほんとは...、怖かったっ...」
深「そうだよね、ほんとにごめんね」
深澤さんは一切悪くないのに。
私が助けを求めたから来てくれたのに。
「深澤さん、っ仕事は...？」
深「仕事？だいじょーぶだよ
ちょっと抜けるって言ってきたし。
後で事情話せばどうってことない」
「...でも、」
事情を話しても、
抜け出して来てくれたのは、事実だ。
助けてくれたとはいえ、仕事を抜けるなんて、そんなの許されるのかな...
深「Aちゃんは心配しないでいーんだよ
あ、昼ご飯食べた？」
「...いえ、まだです」
深「俺もまだ食べてないから一緒に食べない？
奢るしさ。何食べたい？」
この間のファミレスでも奢ってもらったのに、今日も...？
それは...無理だ。
「こないだも奢ってもらったのに...
それはできないです、せめて割り勘で、」
深「それは俺が嫌だなあ
女の子には財布を出させないってのが
俺のモットーなの。いい？」
「...でも」
深「Aちゃんって、でもが口癖だよね
真面目だなぁ〜
ね、たまにはさ、不真面目に生きようよ」
...仕方ないじゃん、
私は私なんだから、真面目でいいじゃん。
...ってなんで深澤さん相手にムキになってんだろ
深「じゃ、行こっか」
「私は行くって言ってな...」
深「俺が強制したら、真面目なAちゃんは着いてきてくれるでしょ？
...俺の思惑通りだね」
...本当にその通り、だ。
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作者名：こようぃん
| 作成日時：2021年1月3日 14時
