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#33《最終話》 ページ33

深「お待たせしました」




岩「いえ、全然。どうぞ」




深「失礼します...」









ブラックコーヒーを頼んで、一息つく。





深「えっと、話したいことって...」




岩「単刀直入に言わせて頂くと、Aは、もうこの世にはいません」




深「...は?」




岩「旦那からのDVが原因で、亡くなりました」







いやいやいや...


これで、そうなんですね、って納得できるわけが無い。



...Aは、もう、この世にはいない?









岩「ちゃんと事情をお話するので聞いて頂きたいです」





そう言って、岩本さんは事細かに説明してくれた。









簡潔にまとめると、こうだ。



あの後、幼馴染と結婚したA

旦那となった幼馴染の束縛が激しすぎて、遊びにも行けなかった。


そして気づけば、DVが始まっていたらしい。

大学に通いながらバイトもして...とやっていたAは日々痩せていき、疲れて家事をやっていなかったら殴られたり蹴られたり、体には痣がたくさんあったとのこと。



そしてある日、旦那が家に帰ってきたら亡くなっていたらしい。








深「...最低だな」




岩「ほんと、旦那のやつ最低ですよね
見た目いいやつだからDVなんて...って思ってたけど、事実です」




深「俺が、別れを告げなかったら...」




岩「...そんなこと、」




深「Aは俺といれて、幸せだったのかな」




岩「...幸せだったと思いますよ」






会ったら必ず深澤さんの話をしてましたから。


私のことを一番に考えてくれる優しい人だ、って。








深「...Aっ」




岩「俺、思うんですけど...
深澤さんとAとの出会いは、偶然じゃなくて必然だったんだと思います」




深「...え?」




岩「だって、深澤さんと付き合ってた時のA、俺が見た中で一番いい顔してましたから」




深「...そっか」




岩「では、俺はこれで。
...また、機会があれば。」




深「...」







岩本さんがいなくなったカフェで、一人呟く。





深「...俺たちが出会ったのは、奇跡でも偶然でもなくて、必然だったのかな」




深「なぁ、A...」








その答えは返って来ないのにないのに、何故か問いかけたくなった。



なんとなく、近くにAがいる気がして。









深「...仕事、戻るか」








俺は今日も、Aを忘れられないでいる。





【高卒男、恋をする】end.

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作者名:こようぃん | 作成日時:2021年1月3日 14時

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