＃18 ページ18
深「その分って言ったらあれだけど、恋をしたことがない
でもなんか、物足りなくて。
俺の為に働いて体を壊しかけた母親を見てらんなくて、遊びに手を出しちゃったの」
そこからは、女の子に溺れる日々
バイトの日数は減って、女の子と遊ぶ日は増えた
でも、少しずつ生活は苦しくなっていったらしい。
深「母親には男がいたし、働きつつ会いに行ってることは知ってたから。
俺だっていいでしょ、なんてその時は思ってたんだよね
...今思えば、何やってんだよって感じだけど」
「...」
深「で、俺は大学に進まず働いた。
本当は進学しようと思ったよ？
でも、遊んでたから大学に進む資格ねえなって」
「そう、だったんですね」
少し儚げに微笑む時の裏には、深澤さんの過去があったんだ...
深「...まあ、その母親も、こないだ亡くなったんだけどな」
「...え？」
深「Aちゃんと初めて会った、次の日くらいに。
俺、悲しんでるところ見られたくなくて、普通を装ってたんだよね。
LINEもいつも通り返したし、電話をしてもいつも通りにやってた」
「う、そ...」
深「それがなぁ、嘘じゃないんだよな
...嘘であったら、どれだけいいことか」
その時、一瞬だけ悲しげな表情を見せた深澤さん
「っごめんなさい、私、また身勝手なことを...」
深「んーん、気にしないで
完治は難しいって言われてたから、仕方ないよ」
仕方ない、その言葉で言いくるめられることじゃない
「ほんと、私、最低だ...」
深「そんなことないよ」
「そんなことあります...っ」
深「...ねえ、動物園から変更してもいい？」
「っえ？」
深「他に行きたいところ、見つけた」
「見つけた、って...」
深「交通費は俺が出すから、行こ」
そのまま、訳も分からず電車に乗り込んだ
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作者名：こようぃん
| 作成日時：2021年1月3日 14時
