＃別れを告げる ページ26
「蓮くん、お話があります」
目「ん、分かった」
蓮くんの家のリビングで、向かい合わせに座る。
いよいよ、この事を言う日が訪れた。
蓮くんはいつ言うんだろうって思ってただろうな
「あのね...私...前にさ、海外に行くことになるかもって言ってたじゃん」
目「うん」
「あれね...本当に現実になったの。
海外、行くことになった。」
遡ること、約1週間前。
上司が私に海外出張して欲しいとお願いをしてきた。
強制ではないけど、こんな機会は滅多にないし、了承した。
「本当は、蓮くんと離れたくない
...でも、向こうに行ったら給料もいいし、生活費も負担してくれる。
それに、ここでは経験できないことを向こうではできるから。行こうって決めた。
...だからごめん、蓮くん、別れてほしい」
この選択が本当に正しいのか私には分からない。
でも、遠距離はどちらも辛い思いをするだけ。
それなら、私を忘れてほしかった。
辛い思いをするなら...会えないなら。
別れよう、そう決断した。
目「Aの気持ちは分かった
...けど、なんで別れる必要があるの？」
「...遠距離は、蓮くんに辛い思いをさせちゃうから。
辛い思いしてまで付き合うのって、きついでしょ」
目「それは、Aの考えでしょ
俺の気持ちはそうじゃない」
「...」
目「確かに、遠距離は寂しいし、辛いけどさ
俺にとったらAと別れることが一番辛い」
...嗚呼、蓮くんはこういう人だった。
きちんと自分の考えを持っていて、人に流されない。
そんな蓮くんだから私は好きになったんだ
その上、また、蓮くんを傷つけちゃった。
...最低だ、私。
目「だからさ...別れる、なんて言わないで
俺、Aがいないと無理なんだよ...」
弱々しい声で、そう呟く蓮くん
...ごめんね、また、辛い思いをさせちゃうね。
「...じゃあ、別れない代わりに、一つ約束してほしいの」
目「...なに？」
「離れてる間は、仕事だけに集中したい。
...だから、連絡はしないでほしい」
目「...」
最低だって、残酷なことをしてるって分かってる
でもそうじゃないと、私は蓮くんに甘えてしまうから。
海外にいる間だけは、甘えたりしたくないんだ。
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作者名：こようぃん
| 作成日時：2020年11月15日 14時
