夕映え【夕/闇】 (ページ6)

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いよいよ本番。

にっちの基礎練のスティックの音がやけに大きく聞こえる。

本番前の、研ぎ澄まされて行くこの感覚が好きだ。
この瞬間の、雑音が一切聞こえなくなって行くのが好きだ。

真希、来てるんかな、本当に。

俺らの出番は2年だから一番最初。

でも、2年だからってだけではないと部長は言う。

＂お前らだからオープニングを任せてる。＂

そう言われて、気合いが入らないわけがない。

高揚する。手足がジンジンとする。
この瞬間のために、俺は歌を歌ってる。

下手な生徒会のMCのあと、SEがかかる。

歓声がある、1200人の中、見つけられるはずなんてないのに。

一番後ろ、体育館の壁際、

真希を見つけた。

小柳「お前ら盛り上がるためにここにいるんだろうなぁ？？！」

また歓声が上がる。

真っ直ぐに指をさす。
どうか、見ていて。この10分間は。
目を離さないで。

心地いい真っ白な頭で、ただそれだけを願った。

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