2時 ページ2
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その日は台風のひどい大雨で
こんな日はいっそ休みにしてほしいというのに、我が校は生徒を登校させ
グショグショに濡れた靴下にさらにイラつきながら、
クラスメイトのゲームの話に適当に相槌を打って、適当なところで笑っていた。
ああ、早く部活の時間にならないかな。
早く、早く、叫びたい。
ハウリング寸前まで。
ともやと新曲合わせたいな。
俺が俺でいられるのは、きっとマイクを握って、ステージで頭真っ白にして叫んでいる時だけ。
音楽は裏切らない。
メンバーだって。
この檻から、早く解放してほしい…………
担任が入ってきて朝のホームルームが始まる。
それを合図に俺は頭を空っぽに、真っ白にする。
ステージにいる時とは違う、嫌な真っ白だ。
目の前が本当に灰色に見えた。
早く終われ。
担任「最後に、今日から産休に入った前任の鈴木先生に変わって、副担任に新しい先生に来てもらう事になった。…入ってください」
なんとなく、ドアに目を向ける。
刹那。
ペトリコールが鼻腔を擽る。
色が違う。そこだけ。その、女の人だけ。
はじめまして。
その決まり文句さえ、一音一音で俺の鼓膜を揺らした。
ブラウスから伸びる華奢な腕に見惚れた。
台風はもう俺の中だけで吹き荒れてて。
鳴り止まない雷鳴。
人は一目惚れの比喩を
小柳「雷が落ちた」
としばしば表現する。
はぁ？と聞き返してくるクラスメイトの声も気にならないほどに俺は。
真希「長尾 真希、といいます！よろしくお願いします！」
先生とは思えないほどの無邪気さが印象的だった。
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作者名：なぁ | 作成日時：2019年9月12日 2時
