【そらる】どうか、救って 2 【歌い手】

will7 ページ7

『彼方さん、テレビ使わせてほしいんだけどいい？』







俺がりこへの思いを自覚した翌日、気分転換にと作業部屋ではなくリビングでノートパソコンを開き編集を進めていればりこがひょっこりと顔を覗かせた







「いいよ〜何、ゲーム？」





『うんそう。DQ7やるんだ』





「え、待って懐かし…俺もやりたい！」





『私がやるから駄目〜』







何故そんなに懐かしい作品をするのかには突っ込まないまま、ええーずるい、ずるいと熱い視線を送っていればテキパキと準備を終えたりこは『彼方さん、作業に集中』そう一言残し、ヘッドセットをつけてくるりと画面の方を向いてしまった








……いいよ、暇な時やりこんでやるから！！！








進んでいくゲーム画面に気を取られつつもカチカチと作業を進めていれば、外で白い稲妻がはしり、数秒後にドーーンッと大きな音が聞こえた








うわ、今日雷なの？最悪何だけど…







前に一度だけ、雷のせいで家が停電になり莫大な量のデータが保存されていないまますべて消え失せるという最悪な大事件を経験した俺は雷が嫌いだ。普通にうるさいし







今日はこまめに保存しないとまたやらかしかねないな……








停電してデータが吹っ飛ぶのはゲームにも言えたことで






記録しとけよ〜と声を掛けてみたものの、いい展開に入っていてゲームに集中しているから全く聞こえていないのか、りこから返事は返って来ない







まあ、いっか。データ飛ぶのもひとつの経験だろ







わざわざ彼女のヘッドセットを剥ぎ取りに行くのも面倒くさいので(本音)おれは自分の作業に戻ることにした








…まあ、りこはなにかと落ち着いてるからどうせ雷なんて外を怪訝な目でみて終わりだろ








そう、思っていた

will8→←will6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す