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がっしりした大きい手が、頭から首へと滑る。
たろ君が触れた所がじんわりと温かい。
よしよし。
とでも言うように、頭を撫でる手は止まらない。
…たろ君は、こういうのが人一倍上手いと思う。
ずっと前に一度だけ。
本当に一度だけ、メンバーの前なのにどうしようもなく泣けて、大泣きしたことがある。
その時も、こうして寄り添ってくれた。
普段はよく動く口は、多くは語らなかったけれど
目は雄弁に「大丈夫、大丈夫だよ。」と伝え続けてくれたし、手はたっぷりの愛情で俺の心を解してくれた。
………気持ちに訴えるのが上手いんだよなぁ……
俺は、たろ君の醸し出すこの雰囲気に抗えない。
うん。
「…俺も。」
みんなと連絡とれないの辛いんだよね…。
肯定の言葉だけで足りる筈の一言に、ツラリと本音が入り込む。
俺の髪をくっちゃくちゃにしていた手がピタリと止まった。
小鼻をぷくりと膨らませて、何か言いたそうな顔をしたまま。
まずは…とばかりに、よすよすと髪を整えてくれるたろ君は律儀だ。
もう片方の手は、ポケットの中をゴソゴソ動いて
携帯を取り出した。
んー…
「俺とAのいちゃついてるジングルにしよーと思ってたんだけど。」やめよ、やめ！
「…ぅえ？！」待ってよたろ君！ホントに止めてよ？！
俺、くっそ恥ずかしいじゃん…！
しねぇよ、
「お前…こんな本音、なかなか話してくんねぇじゃん。」
「…！」
ただっ広い鏡面スタジオ。
鏡には、たろ君に押されてたじろぐ俺が映る。
どっしりと目が座ったたろ君は男前で、
聞かせてよ、甘えていいよ。
そんな目で俺を見る。
チームにも、代表にも。
無条件で俺を甘やかしてくれる人はいない。
あそこは、切磋琢磨して上を目指す場所だから。
SixTONESも、SNOYさんやチームSixTONESと一緒に世界を目指している。
けれどもここは、甘えたい俺も、弱った俺も、受け止めてくれる場所。
やっぱり俺のホームはSixTONES。
そう思うと、聞いてくれるたろ君の言葉に甘えてみようと思った。
「俺、一人で歌の練習するのも、ダンスの練習するのも、ホントは嫌いなの。寂しいから、大嫌い。」
気恥ずかしさに逸した目を、チラッとたろ君に向けると、
彼は真面目な顔で、正座して聞いていた。
？？！
「…っふは！」くっくっ
「ちょっとぉーそれはないでしょ、Aー！」
「いや、違っ…だってたろ君、それは笑うよ…っ」
「俺は至極マジメに聞いてただけでしょーよ！」
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venjamin(プロフ) - はむはむさん» はむはむさん、コメントありがとうございます。ありがとうございます、恐縮です…！遅筆ですが、また覗きに来て下さい (2023年1月7日 18時) (
レス) id: d12149b604 (このIDを非表示/違反報告)
はむはむ(プロフ) - こんにちは、はむはむです。めちゃくちゃ面白くて一気に読んでしまいました！更新頑張ってください(^^) (2022年8月9日 21時) (レス) id: 2b371b2a8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：venjamin | 作成日時：2022年2月5日 16時
