Story 58 ページ10
白い壁、床は白銀の大理石、曇りのないガラスのテーブル………銀の錠前。
この部屋は、
凍てつく冬を連想させるようで
無垢な幼子の心を連想させるようで。
キレイな俺たちの部屋に
色鮮やかなカップは眩しく映る。
目が眩むほど美しく、魅力で溢れる
その6つの彩色に、何かが乾く。
焦がれる。
……お姉さんの世界みたい
寒さにピンク色になった耳
チラリと覗いた赤い舌
キラリと光ったネックレスの石は黄色
お姉さん越しに見た青空
貴方が眠る間、静かに待った部屋、幸せな黒
貴方が触れた野菜たちはみずみずしい緑に輝いた
…うん、そっくりだな。
色彩に彩られたAさんの世界。
キレイな部屋が寂しいなんて思う日が来るとは思わなかった。
6人で完結していた世界が、幸せな痛みを伴って変わるなんて思わなかった。
あーぁ、
俺に、また寂しい想いをさせるなんて。
酷いよねぇ……Aさん。
会ったばかりの時は、俺から逃げようとしたし
ソファで寝たときも、俺から逃げようとしたし
…すぐ逃げちゃうもんなぁ……
俺はお姉さんと一緒にいたいだけなのに。
傷ついてるんだよ、これでも。
……ぁ、もしかして、
俺の気持ち伝わってない…？
先生も言ってた。
お姉さんと、ちゃんと話すことが大切ですよって。
お姉さんを捕まえて、ちゃんと話そう、
貴方しか俺に触れられない。
俺は、貴方が認めてくれなければ…
認めてくれなければ、存在が危ういんだって。
一生大事にするよって。
6色の中でも、ひときわ目を引くビビットピンク
丸く形どられたカップの縁を、長い指がツツ…となぞった。
＊＊＊
「北斗、滝沢所長がお呼びだ。…行けるか？」
昼前に、北斗が滝沢くんに呼ばれて出ていった。
樹が一緒に行きたいと申し出たけれど、偉い人たちには受け入れられなかった。
カチ…
カチ…
色のない時計が、カチカチと規則的に秒針を動かす。
…不安そうな背中を見送って、もう暫く経つ。
「北斗が居なくならないように。」
ただ祈るしかない、俺たち
北斗がSixTONESとしていられるように、願ってくれたお姉さん
………会えないのに、もう会えないかもしれないのに
それでも、お姉さんの願った言葉はちゃんと所長に届いていて
お姉さん、助けて…
北斗を助けて……
祈り、呟くジェシーの声が聞こえる
遠くから足音が近づいてきた
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venjamin(プロフ) - アンケートにご協力頂いた皆様、ありがとうございました。びゅーね君の枝分かれ作品となる「私の好きな人」同僚メイン には、樹さんに3人目として登場してもらおうと思います。 (2021年11月14日 1時) (
レス) id: 221b5a88eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：venjamin | 作成日時：2021年8月30日 2時
