Story 53 ページ5
…今回、大変お気遣いをいただきました。私としても、何かの形でお礼ができたらと思っております。
「もしAさんがよろしければ……」
コトリ
営業モードに戻った滝沢さんが机上に置いたのは、
SixTONESとは違う、冠を載せた小瓶。
レースのような模様が浮き出た、それはそれは上品な小瓶。
透明な小瓶が映し出す、光を集めて揺れる透き通った液。
真紅の石が、存在を主張するように光る。
ザワ…ッ
ソワ………ザワ…
コ…コッ……
こつ…
ゾワリと背中で感じるエマージェンシーコール
ゾクゾクと背筋が震える
思わず振り向くと、ソファの上のボトルが僅かに揺れている。
コツ…コ…
僅かな音を立てながら。
無茶するなぁ…
滝沢さんがため息混じりに呟いた。
コツ…コツ……
おい
「やめとけ、出てくることはできないって分かってるだろ。」
コッ…コツコツ……
滝沢さんの静止を受けても尚、ゆらゆら揺れ続ける小さなボトル。
…あぁ、本当に
6人はあの中に居るんだな…
「…っ。」
私が最後に見たのは、苦しむ6人の顔だった。
今も、綺麗な顔を歪めて抗おうとしているのだろうか。
そんなに…
そんなにも、私といたいと…
そう、受け取ってもいいのだろうか。
Aさん。
「こちらはKing&Princeというシリーズの化粧水です。」
滝沢さんが、6人のことが気になって仕方ない私に、気づかない筈がない。
それでも、見目新しい小瓶を差し出す彼の真意は…読めない。
「大人気のシリーズなのですが、なかなか具現化できる方が居なくて…。」とても良い物なので、良かったらどうかと思いまして。お代は頂きませんので……
キラ…
ゆら……
キラ キラ……
気品を感じる小瓶は、静かにテーブルに置かれている。
ただ、そこにあるだけで目線を奪う程美しい。
けれども。
…折角のお話ですが…。
「そういったことは結構です。」
彼らの価値を無料にすることにも抵抗があります。
「…そう、ですか……。」
あ、でしたら6人の中からお選び頂くこともできますが…
「いえ、それも結構です。」
それは、私が願う未来ではないから。
首を振るばかりの私に、いよいよ滝沢さんが困り始めた
今だ
きっと今だ
「…あの、お願いがあります。」
コクリ
一気に高まる緊張に喉が鳴る
「北斗さんを…助けて下さい。」
彼らが幸せになれる未来がありますように
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venjamin(プロフ) - アンケートにご協力頂いた皆様、ありがとうございました。びゅーね君の枝分かれ作品となる「私の好きな人」同僚メイン には、樹さんに3人目として登場してもらおうと思います。 (2021年11月14日 1時) (
レス) id: 221b5a88eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：venjamin | 作成日時：2021年8月30日 2時
