Story 51 ページ3
…俺たちは、所長には敵わない。
いくら、全力で抗おうとしたところで…
徐々に力が入らなくなる体
ぼんやりと視界がぼやけて、大好きなお姉さんが霞む
呼吸が…うまく、できない………
お姉さんが、俺たちを助けようとする声だけが
暗転する世界の中で、クリアに聞こえた。
＊
ほんの数分前まで、
ジェシーさんが楽しそうに笑っていた場所に
今は
営業スマイルをみせる滝沢さんが座っている。
仕事の癖で珈琲を出そうとすると、お構いなく、と柔らかく制された。
「···。」
とりあえず、座って貰ったけれど、沈黙が辛い。
正直、みんなが気になってそれどころじゃない。
私はこれから、何を言われるんだろう。
…6人は連れ戻されるんだろうなぁ…
抜け出して来たって言っていたから、ただでは済まないんだろう
…大丈夫かな……
爽やかな笑顔を浮かべた滝沢さんが映る名刺を眺める。
若いのに、所長なんて、すごい人なんだな。
6人の保護者のような立場なのかな…
そんなことを考えていて、
「…！」
ハタと気づいた。
所長…？
この方が所長ってことは…
北斗さんのこと、何とかしてくれるんじゃない？！
今は消えたいなんて思っていないと知れば、考えてくれるかもしれない…！
そうだ、話してみよう！
6人の幸せな未来には、北斗さんが不可欠なんだ。
ジェシーさんが楽しそうに話していたじゃない！
意を決して顔をあげると、真正面から私を見据える彼と、目があった。
それを合図としたかのように、
「うちのSixTONESが、ご迷惑をお掛けして…本当に申し訳ありませんでした。」
腰から折れて、頭を垂れる
それは、
とても深いお辞儀だった。
ぇ、いえ…！
「そんな、迷惑だなんて思ってないです。」
そう言ってみても、滝沢さんの頭は上がらない。
…しかし、
「急に会いに行って困らせただけではないでしょう…？
あなたのベットで一緒に眠った阿呆もいましたし。」
怖い思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
……。
まぁ… 確かに…
冷静に考えたら、完全にアウトだよね北斗さん…
私が何も言わないのを是と捉えたのか、滝沢さんの頭が更に下る。
お辞儀の深さに、私は焦る。
…あの、本当に大丈夫です。
「6人と過ごした時間は、とても楽しかったので…。」
顔を上げた滝沢さんが、
「楽しかった、ですか。」
寂しく笑った。
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venjamin(プロフ) - アンケートにご協力頂いた皆様、ありがとうございました。びゅーね君の枝分かれ作品となる「私の好きな人」同僚メイン には、樹さんに3人目として登場してもらおうと思います。 (2021年11月14日 1時) (
レス) id: 221b5a88eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：venjamin | 作成日時：2021年8月30日 2時
