Story 59 ページ11
ガチャ
ドアが開く音に、一斉に振り向いた俺たちの前に
困ったように笑う所長が立っていた。
「ッ滝沢くん…！」
「北斗は…？」
待ちきれないジェシーと樹の声が重なった。
不安と焦れが交差する俺たちの表情を見た所長の笑みは、ますます深まる。
「北斗から聞いたよ。
…6人で叶えたい夢ができたんだって？」
夢………なのか？
夢、なのか。
お姉さんの元で暮らすことは。
俺たちがお姉さんを幸せにする……
お姉さんと一緒に、
俺たちの幸せを祈ってくれた、貴方と一緒に……
ははっ
いい夢じ「いい夢じゃん。」
…！
心の声が漏れたのかと思った。
「北斗はこれからも、お前たちと一緒だよ。」
嬉しそうに笑って言った所長の後ろから、ゆらりと北斗の黒髪が覗く。
あぁ…
あぁ…良かった………
背中に負った重荷が一つ、ゆっくりと溶け出すようで
滝沢くんの横をすり抜けて来る北斗を見て、
安心したのか、ふにゃりと笑う黒髪に俺の心も軽くなる。
「ほくと…！」
「北斗、良かったよお前…ッ！」
末っ子二人が飛びついて、
ギュウギュウと抱きしめられる北斗の顔が、安堵やら申し訳なさやらで歪む。
小刻みに揺れる肩を擦り、支える姿に此方も心が震える。
じわりじわりと溶けた重荷がポロリと一筋溢れた。
……お姉さん。
お姉さん、北斗助かったよ
………どうしたら、
北斗の命が続くことを、
本気で願ってくれた貴方に伝えられるだろう。
「…！」
…タッ…タッ
すぐ横を通り過ぎる靴音にハッとする、
顔を上げると、こーちが端正な横顔を見せて通り過ぎ、所長に向かっていった。
……こーち？
何かを決断したような背中に、思わず俺も足を向ける。
ん？
「こーち、大我。」どうした。
只ならない雰囲気のこーちと、なんだなんだと着いてきた俺。
二人の顔をキョロと見比べ、その温度差にクエスチョンマークを浮かべた所長だったが、すっと目を座らせ此方を向いた。
…話を聞くよ。
目が語る。
こーちが静かに話しだした。
此方に気づいた樹がやってきて、所長と俺たち3人で話し合いが始まった。
滝沢くん、
「北斗を助けてくれてありがとうございます。」
ありがとうございます
口々にそう伝えるが、滝沢くんは一度頷くだけ
要件はなんだ？とばかりにじっと俺たちを見つめている。
「Aさんに、北斗の無事を伝えたいんです。」
続く (更新停止中)
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venjamin(プロフ) - アンケートにご協力頂いた皆様、ありがとうございました。びゅーね君の枝分かれ作品となる「私の好きな人」同僚メイン には、樹さんに3人目として登場してもらおうと思います。 (2021年11月14日 1時) (
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作者名：venjamin | 作成日時：2021年8月30日 2時
