紫は愛から逃げ出した

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何？たいちゃんAと飯行くの？俺も誘ってよ。
予定合えばね。



ワイワイ話をしながら去っていくキスマイさんの後ろ姿を見ながら、
７人っていいな、なんて思ったりして。




６人でいることには慣れたけど、
あいつがいないことがやっぱり違和感で。




それは、１年経っても違和感のままだった。




お疲れ様でした！SixTONESさん、楽屋にケータリング用意してます。
良かったら召し上がって下さい！




人好きする笑顔のスタッフに、こちらも笑顔でお礼を述べ、
現場のスタッフさんにも６人で、ちゃんとお礼を伝える。

…こういう礼儀みたいなもんは、Aが一番しっかりしてんだよね。




６人で歩く廊下。６人分の影。

１人足りない、あいつの影が。




ねぇねぇ
「Mステ終ったら、夜は皆オフでしょ？」
「そんで、明日も７人一緒でしょ？」
しんたろうが妙に嬉しそうな顔で声を上げる。


「何々？」やっぱ迎えに行く？
ジェシーがすかさず乗って、話しが盛り上がっていく。





ぴょんっと跳ねるように仁王立ちになったしんたろうの大声が廊下に響いた。





聞いてくれみんな！
「俺！
　知り合いの旅館とった！！」大部屋！露天風呂付！！







・・・ん！？





「７人で行きますって言った！！」




・・・んん！！？






「温泉かぁ、いいねぇ。」
樹のピンクの髪が揺れる。


「北斗、ずっと行きたいって言ってたもんね。」
「や、言ったけど。俺のことはいいのよ。」
今はAでしょ。ねぎらってあげましょうよ。


「７人で布団しいて寝るの、久しぶりだね。」
俺、Aの隣がいい。あいつ寝相良いから潰されないし。

いや、Aは俺の事好きだからな。俺を選ぶね。

きょも、その自信どこから来てんの。




「おいおい。
　あいつ、久しぶりの休みなんだからゆっくり寝かしてやれよ。」
そもそも廊下だぞ。静かにしろって。

…一応宥めてみたけど。





坊ちゃんと樹のマウントの取り合いに、なんだかんだ他の３人も参加してるし…。

いいにおいすんだよなぁ、A
サッカー選手っていいにおいなんじゃない？
いや、そんなことある？！




「…はぁ。」

こりゃぁ今夜は揉めそうだなぁ…
トランプかなんか置いてくれてあるかな…
こういう時、いつもあいつは困った顔で笑うんだ。


…たまには、俺も一緒に寝たいよ。A。
…最年長の俺は、とても言えないけど。




５人の後ろ姿を見ながら、ジェシーに並ぶ大きさのあいつに思いを馳せた。

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