流れる空気 ページ42
「なん……て?」
翔くんが、かすれた声で聞いた。
でも、俺も翔くんも聞き逃さなかった。
体の中から絞り出したようなその言葉は、俺の頭の中で何回も繰り返される。
かずは、その一言を言うのに大分体力を使ったみたいで、俯いて浅く息をしている。
「……どういたしまして」
ずいぶん時間がたってから、涙ぐんだ声で翔くんが答えた。
かずは、それを聞いて満足そうな顔をした。
そして今度は俺の方に向き直り、両手を伸ばしてきた。
俺はそれを抱きとめ、自分の膝の上に乗っける。
じっと俺の顔を見つめるけれど、もう口は動かない。
そのままもたれてきて、肩に頭を乗っける。
俺はその体を優しく抱きとめて、背中を優しくさする。
身体はもう熱を持っていなかった。
「熱、下がったみたい」
「そっか、よかった」
翔くんもほっとした顔をした。
「本当にありがとう。翔くん」
翔くんがいなかったら、今頃どうなっていたかわからない。
「いやいや。元気になってよかった。体弱いみたいだから、これからも気を付けてあげてね」
かずは顔だけ翔くんにむけて、嬉しそうな表情をした。
「俺、今日は帰るね。久しぶりに２人でゆっくりして」
「え、でも……あ、夜ご飯作るよ?」
「あ、う〜ん…それは悩みどころだけど…。ちょっとやりたい仕事もあるし、帰るね」
そっか、翔くんには大事な仕事があるんだもんね。
「わかった。本当にいろいろありがとう」
「うん。あ、お見送りはいいよ。かずくんそのままがいいだろうし」
けれど、かずは翔くんのその言葉を聞くや否や、俺の膝から降りて、翔くんを見つめた。
「お見送りしたいみたいだよ」
それは間違ってなかったみたいで、ソファから立ち上がる俺の手を握って一緒に立ち上がる。
「ありがと。すぐ用意する」
もともとそんなに散らかってなかった荷物をさっとまとめた翔くんを２人で玄関までお見送りする。
「じゃぁ、またね。かずくんも元気でね」
「なんか、翔くんどっか遠いとこ行くみたい(笑)」
「はははっ。またすぐ来そう」
「どうぞ。またごはん作るね」
「お、それはうれしい!!」
俺と翔くんの会話を、かずは俺の手を握りながらじっと聞いていた。
「じゃぁ、ありがとう」
「うん。こちらこそ。ありがとう」
翔くんが出て行って、静かになった玄関。
「もどろっか」
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ohmiya373sk(プロフ) - 更新ありがとうございます！！ 話が着々と進んでますね…!! お母さんを見つめるにのちゃん 、過去も 益々気になります(^ ^) 更新頑張って下さい！ (2015年1月27日 22時) (
レス) id: 07fd8f852a (このIDを非表示/違反報告)
みっちょん(プロフ) - にじいろえんぴつさん» にじいろえんぴつさん！すぐにお返事できなくてごめんなさい!!お久しぶりです!(^O^)かずくんも、大野くんも頑張ってくれました！今年も是非よろしくお願いしますm(_ _)m (2015年1月27日 2時) (レス) id: 5d381b2641 (このIDを非表示/違反報告)
にじいろえんぴつ(プロフ) - みっちょんさん、お久しぶりです、えんぴつですー！年末年始が落ち着いたので、覗いたらお話が追加されてて、飛び上がりました。和くんの公園デビュー、大野さんよく引っ張ってくれた〜！と感動してます。大きな進歩！みっちょんさん、今年も応援させてください(ぺこり) (2015年1月4日 11時) (レス) id: ed6b40fa96 (このIDを非表示/違反報告)
みっちょん(プロフ) - エミーノさん» そうですね、、、ゆっくりゆっくりかずくんも変化見守ってあげてくださいm(_ _)m (2015年1月1日 2時) (レス) id: 5d381b2641 (このIDを非表示/違反報告)
みっちょん(プロフ) - ohmiya373skさん» そうですね、完全に萌え袖状態です(´ω`)いつもと違う智くんにキュンとしてしまいますね。。ありがとうございます! (2015年1月1日 2時) (レス) id: 5d381b2641 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みっちょん | 作成日時：2013年9月19日 0時
