ごはん ページ16
かずを胸に抱えたまま、俺も寝ちゃったみたいだ。
「ん…かず…」
まだ眠ったままのかず。胸元のシャツをつかんで、ちょっと口が開いている。
「んふふ。かわいい」
思わず頬が緩んだ。
時計に目をやると、１２時半。
お昼ご飯食べないと。
「かず。起きよっか?昼ご飯食べよう?」
深く眠っていたように見えたど、一度声をかけただけでかずは目を開ける。
昼の日差しに目を細めて、そして俺の顔を見上げると、ふわっと微笑んだ。
うわー…
ほんの少し前まで、口の端を上げるくらいしかしなかったのに、こんなにはっきり笑うなんて…
嬉しすぎる。
「かず、ご飯食べる?」
目にかかりそうな前髪を上げながら聞くと、まだ眠そうに瞬きをしながらも頷いた。
「よし。ちょっと待っててね」
脇に手を入れていったん膝から降ろす。
それだけで軽々と持ち上がってしまう体重の軽さに少し悲しくなる。
冷蔵庫を覗くと…最近買い物に行ってないからかあんまり材料がそろっていない。
棚を見たら、パスタのソースはたくさんあった。
あんまり栄養はないけど…カロリーはあるかな。
パスタをゆでて、お皿に入れて、ソースをかける。
ずっと５年間一人分しか作ってこなかったのに、最近二人分作るのが当たり前になってきた。
よく考えたら、ずっと一人でいたのに、お皿とか、スプーンとか、全部二人分あるのは、さびしかったんだろうか。
「かず、できたよ」
つけて行ったテレビを見るでもなくぼーっと眺めていたかず。
においが届いたのか、振り返って目を輝かせる。
前に置いてあげると、顔を近づけてそわそわする。
俺がいないときでも、こんなにおなかをすかせていたんだろうか。
そんな状態で食べていなかったなんて、可哀そうすぎる。
「あ、ごめん。食べようね」
俺の袖を引っ張ってフォークを握らせる。
かずは先に一人で食べることは絶対にない。
「いただきます」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 292人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ohmiya373sk(プロフ) - 更新ありがとうございます！！ 話が着々と進んでますね…!! お母さんを見つめるにのちゃん 、過去も 益々気になります(^ ^) 更新頑張って下さい！ (2015年1月27日 22時) (
レス) id: 07fd8f852a (このIDを非表示/違反報告)
みっちょん(プロフ) - にじいろえんぴつさん» にじいろえんぴつさん！すぐにお返事できなくてごめんなさい!!お久しぶりです!(^O^)かずくんも、大野くんも頑張ってくれました！今年も是非よろしくお願いしますm(_ _)m (2015年1月27日 2時) (レス) id: 5d381b2641 (このIDを非表示/違反報告)
にじいろえんぴつ(プロフ) - みっちょんさん、お久しぶりです、えんぴつですー！年末年始が落ち着いたので、覗いたらお話が追加されてて、飛び上がりました。和くんの公園デビュー、大野さんよく引っ張ってくれた〜！と感動してます。大きな進歩！みっちょんさん、今年も応援させてください(ぺこり) (2015年1月4日 11時) (レス) id: ed6b40fa96 (このIDを非表示/違反報告)
みっちょん(プロフ) - エミーノさん» そうですね、、、ゆっくりゆっくりかずくんも変化見守ってあげてくださいm(_ _)m (2015年1月1日 2時) (レス) id: 5d381b2641 (このIDを非表示/違反報告)
みっちょん(プロフ) - ohmiya373skさん» そうですね、完全に萌え袖状態です(´ω`)いつもと違う智くんにキュンとしてしまいますね。。ありがとうございます! (2015年1月1日 2時) (レス) id: 5d381b2641 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みっちょん | 作成日時：2013年9月19日 0時
