最低な ページ30
(揺られているだけなのに楽しい……！)
メリーゴーランドの馬に乗りながら私は笑っていた
機械式の馬に揺られているだけなのに気分は夢見心地
今日があまりにも楽しすぎて天罰でも下るんじゃないかと思うほどに
後ろをチラと見ればコワさんがいて、微笑んでくれた
(相変わらず素敵だな……)
彼が微笑むだけで心が安らぐ
撫でられれば落ち着いて
会話を交わせば踊りたくなる
まるで昔の教授との日々の様……
そこでふと固まった
なんで教授が出てくるの？
そもそもだ
コワさんと過ごしていると希に教授がちらついた
何で？
あの人のことは大嫌いだっていうのに
愛なんて少しもくれなかったのに
コワさんと過ごしていると過去がつきまとう
まさか未だに彼に未練がある？
そしてそれをコワさんに重ねてる？
(何て酷い……)
私はコワさんをコワさんとして見れていなかった？
あくまでも過去の彼を写し出す鏡としてしか見ていなかったというの？
だとしたら……
(私、最低だ。)
コワさんは私をサインとして見てくれているのに……
私はコワさんをキーパー教授としてみていた
(忘れよう……もう彼は私のことなんてどうでもいい。現に私を探しにもこないじゃない……彼にとって私はもう用済みなんだ。会うこともない……)
頭を振って思考を振り払う
そうだよ
私は今幸せを謳歌してる
きっとずっと、笑いあえる日々を過ごせる！
だからもう……
『逃げられないよ？』
「……ぇ？」
頭に響いた声に顔をあげる
そしてその瞬間、時が嫌にゆっくりに思えた
「なん……で……？」
そこにいたのは青髪の男性と金髪の男性
二人ともお揃いのスーツを身に纏い、こちらを見ていた
……私は彼らを知っている
彼らは……
キーパー教授直属のSPだ
(どうして彼らが……まさか……！)
嫌な予感がした
記憶を辿ってここがどこの遊園地だったか思い出す
そうだ、門にもかかれていた
ここの元締めは……
(キーパーコーポレーション……彼が、キーパー教授の設立した会社にして元職場……)
体が震える
動けない
目を見開いて呼吸がままならない
金髪の彼はうっすらと微笑むとまた脳内に語りかけてきた
キーパー教授の機械か何かを使ってるの？
『探したよサイン！今までどこに行っていたんだい？』
「ぁ……や……」
明るい声に私は何も言えない
『そう怯えないでおくれよ！僕らは君を心配していたんだよ？ねぇねぇ、早くうちに帰ろうよ！キーパーさんもずっとずっと君を探してたんだから！ね？』
その微笑みは捕食者が獲物を今から食らわんとする時に見せる笑みに良く似ていた
忍び寄る影(コワルスキー&noside)→←白昼夢(コワルスキーside )
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
闇鍋ソース(プロフ) - ぱいんさん» まじすか、よろしくお願いします (2020年4月30日 16時) (
レス) id: e014917a59 (このIDを非表示/違反報告)
ぱいん - 初コメ失礼致します。更新嬉しいです、ありがとうございます！これからも応援しております！ (2020年4月30日 2時) (レス) id: ab6cbeeec6 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - はやみんさん» それはよかったです( ´∀`) (2020年4月15日 1時) (レス) id: e014917a59 (このIDを非表示/違反報告)
はやみん - ついにシオフキー結ばれた！よかったです！闇鍋ソースさんの小説やっぱ大好きです！ (2020年4月15日 1時) (レス) id: 60d6cec3ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
