八人 ページ41
「持ってきたよ」
「お、待ってました！…って、紙袋…？」
「うん、そろそろかな、と思って、今日買ってきた」
「え、そろそろっ、て……。まさか」
俺は紙袋の中から小さな箱を取り出して、ソファに座る光里の前にしゃがむ。
そして、彼女の左手を手に取った。
「…………長いこと待たせてごめん。
どうしても、アイツの事を助けたかった。俺を殺さないでくれて、…ずっと、友達でいてくれたアイツを、ほっとけなかったんだ。
…結局、あんな事になっちゃったけど…、最近、やっと心の整理がついた。あれはあれで、決着を付けることが出来たから、良かったんだって思ってる。
一杯心配かけてごめんね。
今まで、俺の事を待っていてくれて、ありがとう。励ましてくれてありがとう。…支えてくれて、ありがとう。
どうか、これからも……ううん、これからは、俺の隣で、ずっと、笑っていてください。
………結婚しよう、光里」
彼女の目をしっかりと見つめる。
ぼろぼろと大粒の涙を零し、少しだけ俯いた彼女の声は、少し震えていた。
「…………はい、よろしくお願いします」
俺はすぐに箱から指輪を取り出した。
明るい光里によく似合う、小さなトパーズがあしらわれた小さな指輪。
それを、ゆっくりとその薬指にはめる。
やがて、静かに顔をあげて自分の左手を見る光里。
その時の表情を、俺は忘れる事は無いだろう。
ーーー
婚約の日からまもなく、俺たちは籍を入れた。
お互いの両親もとても喜んでくれ、俺は光里とともに暮らし始めた。
今では二人の子供に恵まれ、順風満帆な人生を送っている。
以前に比べて光里も大分落ち着いたが、元気な事には変わりない。
因みに善野さんも可愛らしい娘を一人授かっている。
今、俺はとても幸せだ。
ただ…。
今でも、烏を見かける度に思い出す。
濡羽色の髪をしたアイツのことを。
でも、もう後悔はない。
A、ありがとう、お前の事は忘れない。
俺は、この足で歩んでいくと決めたのだから。
happy end…
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もくもく@鬼灯なぅ - みーさん» あ、本当ですね！ご指摘ありがとうございます！ (2015年11月7日 1時) (
レス) id: 4a5e4162ae (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 報告書二枚目の、近所の大学生と若い警官数名が犠牲になった事件で、夜行が夜光になっています。故意でしたら、すみません。 読んでいてとても引き込まれる話で、面白いです。私もこんな風にかければなあ笑 (2015年11月4日 20時) (レス) id: bcd7e9b2cd (このIDを非表示/違反報告)
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